ジャネット・イヴァノヴィッチ (Janet EVANOVICH)
作者公式サイト http://www.evanovich.com/

ステファニー・プラム シリーズ
One for the Money
Two for the Dough
Three to Get Deadly
   短編:The Last Peep
Four to Score
High Five
Hot Six
Seven Up
Hard Eight
Visions of Sugar Plums
To the Nines
Ten Big Ones
Eleven on Top
Twelve Sharp
Lean Mean Thirteen
Fearless Fourteen
Finger Lickin' Fifteen
Sizeeling Sixteen (2010)


Vision of Sugar Plum
Plum Lovin'
Plum Lucky
Plum Spooky
FULLシリーズ
Full House (2002)
Full Tilt (2003)
Full Speed (2003)
Full Blast (2004)
Full Bloom (2005)

バーニー・アレクサンドラシリーズ
Metro Girl
Motor Mouth 
Troublemaker (2010)

シリーズ外
The Rocky Road to Romance (2004)
Love Overboard  (2005)

ステファニー・プラム(Stephanie Plum ) シリーズ

短期間で集中して読んだら夢に見そうなほど描写がうまい。
それでなくてもアクションが結構暴力的。汚れ仕事も多いし、いらない汚物もふりかかってくる。
ゴミ箱に入って物探したり、失神したら倒れた先に犬の糞があったり。
車は何度も崩壊するし、アパートにはしょっちゅう招かれざる客人たちが上がりこんでいる。
ということで読むのを少し控えようと思ったりしたこともあった。
けれど脇に置いたとたんに恋しくなる。
まっすぐで自分に正直なステファニー、実家の家庭料理に群がるもとご近所の警官、ドーナツを持ってくる元同級生の警官、正体が何だか不明でセクシーなキューバ人、お口の聞き方を知らない元ストリートガール、もっとお口の聞き方を知らないステファニーのおばーちゃん、ストレスが溜まるともんもんとアイロンがけに徹するおかあさん、存在感の薄いようで薄いおとーさん、女好きでそれがゆえに脅される雇用主、幼なじみたち、ご近所たち、あの人この人そしてカゴの中のハムスター、レックス。
だれもが自己主張が強すぎて。
でているシリーズ全部読んでしまって、現在禁断症状の真っ最中。
もう一回読みかえして、ネタばれページをつくろうかなぁと計画中(ここ。まだ空き地多し)。
でも好きな場面を抜きだしていたら、本の50%はカバーしてしまいそう。
これもステファニーの竹を割ったような性格のなせる業?
周りの人はなんのかんの言いながらもみんなステファニーを可愛く思ってるし。
なんのかんのがみんな一言多いんだけど。

One for the Money (1995)

ステファニー・プラム30才、失業6ヶ月目、食うに困って手を出したのが賞金稼ぎ、
警察に出頭しなかった人間を捕まえる仕事。
ターゲットは昔馴染みの元悪ガキ。
悪ガキはさまざまな浮名を流した末に今やお尋ね者。
殺人事件の第一被疑者となっていた。

この元悪ガキの行方を追う話は話なのだが、標的は何度もステファニーの前に現れては姿を消す。
ど素人の賞金稼ぎ、自分自身の無力さが、日に日にわかっていくのではあるが、それでもステファニーは投げださない。
なんせ先立つものがない。
なんんとか標的に食いつこうとあがくうちに、話は凶暴なほうに展開していった。

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妙齢でナイスバディなヒロインも、家族と親族、昔馴染みのご近所たちの中ではただのねーちゃんになりさがる。
幼なじみや近所の人に囲まれて、過去の醜態があけすけに。

食生活は色とりどり。
朝ごはんに缶ビールしかないような懐寂しい話なので、タダメシが妙に輝かしい。
祖母も同居する実家では毎夕18時に煮込み料理やオーブン料理が湯気をたてる。
ピザ屋で払ってくれる友人、お持ち帰りで届けてくれる友人、
警察はドーナツ持参で、
ある日外から帰ってきたら、台所で幼なじみがステーキを焼いていたりして。
そしてカリッとサクッとピザシーンがそこここに。

邦題 私の愛したリボルバー

Two for the Dough (1996)

今回の標的はガソリンスタンドの従業員を撃ってけがをさせた男。
被害者と犯人は高校時代の友人。
撃った理由はわからないが、男に賞金がかかっているのは事実。
賞金稼ぎに行方を追ううち、従業員は射殺された。
追跡に行きづまったステファニーに、葬儀会社の経営者から別件を依頼された。

   ☆ ☆ ☆

話の途中で何のことかわからなくなった単語があった。
葬儀屋から「カスケット」を24、紛失したから探してくれと頼まれた。
カスケット、ふーん、帽子か。(フランス語でつづりは違うが野球帽のこと)
ステファニーが師(?)にどうやって探していいか、相談を持ちかける。
師「そのカスケット、中身入りか? なしか?」
...帽子の中身がついているか、ついていないか?
帽子をかぶった24名が失踪?

辞書を引くと「棺(ひつぎ)」でした。
わからぬ単語は引いてみるもんだ。

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今回はステファニーの実家が半分メイン?
特に活躍するのはおばーちゃん。
棺に「ひっかかって」フタを開けてしまうようなおばーちゃん、
老いてますます爆進する。

実家の料理はまたも美味しそう。
ホームメイドプティングを目当てに、母が目の敵にするような男もやってくる。
一度ならずも二度三度、追い払っても追い払ってもやってくる。

邦題 あたしにしかできない職業

Three to Get Deadly (1997)

裁判所に出頭しなかったものを捕まえて警察に突きだして賞金を稼ぐステファニー。
依頼された仕事で大ピンチ。
これだけはできない!
こんな相手を突きだすことはできない。
相手は町の善人、人畜無害なアイス売りおじいちゃん。
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スピード違反でひっかかって、その時銃器の不法所有であげられた人畜無害なおじーちゃん、気はすすまない仕事だけれど、こんなにてこずるとは思わなかった。
他に廻してもらった若いにーちゃん相手の楽勝仕事もなにかとてこずり、
その次に受けた麻薬のディーラーを捕まえる仕事はなんとびっくり。

なにひとつ思うとおりにいかないし、立てつづけに死体と遭遇する羽目になるし、殺人犯とまちがわれるし。
コメディタッチで書いているがよく考えるとかなりグロい、そんなシーンも多いが、実家の風景はいつも温かい。
肉にはソースがたっぷり、ケーキはいつも焼きたてで、帰る際には母親が、残り物を包んでくれる。
お持ち帰りを期待してステファニーの家にあがりこむ輩もいるほどで。

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感想:
ひねりが聞いて、アメリカンな見どころ満載の派手なコメディで、おもしろいです。
そこら中に幼なじみや同級生がいて、知り合いがいて親戚がいて温かい。
一巻目から登場しているくせにこれといったセリフもない、けれど存在感大なキャラクターもいるし。
ハムスターのレックス。
カゴに入って回し車を回転させたり食べたり寝たりしているだけなのだけれど、
妙にひかれる。
動物と子どもは舞台に出すな、主役を喰うというけれど、
観客の目を奪うのは、なにも部隊に限ったことではないのだと、
つくづく思いながらステファニーとともにハムスターの癒しの恩恵を受けるのであります。

邦題 モーおじさんの失踪

短編 The Last Peep (1997)
マリー ヒギンズ クラーク編"The Plot Thickens"(1997年 POCKET BOOKSより発行)に収録

軽犯罪で出頭するはずだった近所の男を捜していると、男が死体になっているのを見つけてしまった。
ちょっと変なヤツだったけれど、殺されるほど悪いヤツではなかったのに。
警察に届けようと現場を離れた30分ほどの間に、死体は消えうせていた。

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短編ではあるが、暴力シーン、拳銃バンバン、口の聞き方を知らない祖母の危ない発言、実家の家庭料理、近所づきあい、くるま運のなさ、ハムスターの癒し、すべてが詰まっている。

邦題 『消えた死体』 探偵稼業はやめられない光文社文庫『ジャーロ』傑作短編アンソロジーに収録

Four to Score (1997)

「ケンカ別れしたボーイフレンドの車を乗り逃げした女の子をつかまえる仕事」
が、車を取られたボーイフレンドから「昔書いたラブレターを取りもどす仕事」も受け、商売繁盛笹もってこい! のはずが、この逃げた女がまた手ごわい。
見つけては逃げられ、汚れ仕事を引きうけさせられ。
そうした一方、ガールフレンドの周囲では奇怪な事件が続発していた。
母は皮をはがれ、同僚は指をつめられ、顔見知りは絞殺され。そして女を追うステファニーの家には爆弾がほうりこまれ。
ただでさえ難航しているのに、おなじ標的を追う賞金稼ぎがもうひとり現れた日にゃぁステファニーの怒りは目に当てられない。
それに相手がよりにもよって元亭主を寝取った女で、目的のためには手段を選ばず、行く先々で足をひっぱるとくればもう。

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メインの話はシリアスに、そしてドタバタと進んでいくのだが、些末な枝葉がまた見もの。
色恋沙汰、強烈に母(マンマ)の強いイタリア系の家族、そしてやや(バンビーノ)についての奇天烈な透視。
毎回夕食に呼んでくれるステファニーの母の手料理もきっちりほかほか温かく、
思わずどっぷり読んでしまいまった。

邦題 サリーは謎解き名人

High Five (1999)
やる気があっても仕事がなければどうしようもない。
犯罪者はなにをしているのか、賞金稼ぎで生きているステファニーは商売閑古鳥状態で今度の家賃も危ういものがある。
とりあえず小額稼ぎに廻してもらった仕事は「銃刀法違反者」をつきだすことだし。
危険な仕事に行き詰ったステファニーの元に行方不明になった伯父を探す仕事が回ってきた。
買い物に出て突然姿を消した伯父。
家に残されたものの中に、本物と見られるバラバラ死体の生写真があった。

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第一作では「なんて独り者歴が長いの、ソーシャルライフがないの」なんて言われていたステファニー、今回はひっきりなしにアパートに男が出入りするのが小粋(?)
大半が招かれざる客。
みんな勝手に鍵を開けて、侵入してくる。
あがりこみソファーに座りって新聞を読む男、リビングでラップトップを開く男、窓から覗き込む男、駐車場で待つ男。めまぐるしいけれど、誰も彼も職も違えば見かけも違う、性格も違えば人当たりも違う。こんがらがらず登場人物の存在感が見事に感じられる。
ステファニーをコケにしたどうしようもない若造も最後にはいい味出しているし。
今回は惨劇が比較的少なく、明るく楽しく読めました。

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オカンのことは好きだけど、このオカンにはなりたくない。
家庭料理は作りたくないしひとつ屋根の下に大人が三人もいるような暮らしをしたくない。
なによりもオトンと結婚なんてしたくない。

そんな風に娘から評されるステファニーの母親、
今回の手料理のひとつに「パイナップル・アップサイドダウン・ケーキ」というのがある。
なんとなくひかれて調べてみるとメープルシロップ入りのスポンジの上にパイナップルの輪切りをのせて砂糖漬けのチェリーもかざってシロップをかけたケーキ。
...甘々でべたべたでカロリー高くて、魅力的〜。

邦題 けちんぼフレッドを探せ!

Hot Six (2000)

今回の捕り物は大物。
ステファニーの賞金稼ぎの師。
師は殺人事件の第一容疑者にあがっていた。
この仕事を断る一方、真相を明かそうとするステファニー、その後をつける二人組の男、そして師不在のためにまわってきたたちの悪い犯罪者をつきだす仕事。
今回も購入したホンダを早々にぶっこわしながら、ステファニーは全速力で事件を追う。
しかしどうしてこの被害者ファミリーは、息子の死に動じていないのか。

一方本筋とは関係ない私生活、老いてますます若く、ステファニーの母に「世間には寝ついて看病させてくれる祖母もいるというのにどうしてうちのおばーちゃんは部屋にコンドームを置いてるの」と言わしめるおばーちゃんが居候に、
なんでも食べる犬が一匹居候にやってきた。
おばーちゃんは車の免許を取るというし、いつのまにか喫煙者の煙草を買いに行くアッシーに任命されるし、大嫌いな女はペットセメタリーに吊るし上げられたりしているし。
今回もヒロインに息つく暇も与えぬ展開です。

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アパートでおばあちゃんとミートローフを焼けるのを待つ場面がある。
「バナナクリームケーキが溶けちゃうよ。先に食べちゃおうか」
言い出す祖母。
ステファニーが小さいときのおばあちゃんは、デザートを先に食べてしまうような人じゃなかった。
家はいつでも片付いて掃除が行き届いていた。
食事はきっちり正午に六時。
ロールキャベツ、ポット・ロースト、ローストチキン、ときどきハムやポークのロースト。
祖父が支配権をにぎっていた。
...祖母が祖父と一緒になっていなかったら、祖母はどんな人になっていたのだろう。

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もうひとつ印象的なシーンは、禁煙を強いられている愛煙家が、待望の一服を吸い込む場面。
なんとも至福の一瞬。
それを見ながらステファニーは考える。
吸わない人間には、こんな幸せを味わえるのだろうか。
バースディケーキは匹敵するか...?

邦題 わしの息子はろくでなし

兄弟げんかで言いつけられて、母親にしかられると、私(あたし)はいつもおばあちゃんのところに駆けこんだ。
おじいちゃんが働いている間、料理をつくり家をまもっているおばあちゃんは、説教なんてぜったいしない。
キッチンの椅子を4つ並べてシーツでテントを張って、枕と本をあてがってくれた。
しばらくするとテントの向こうからクッキーやサンドイッチが差しいれられる。
今ならわかる。
おばあちゃんの心のなかは、私よりもタガがはずれていたのだ。

Seven upより

Seven Up (2001)

今度のターゲットは実のおばーちゃんとつきあったことのある、殺人歴ありの老人。
前々作で車がぶっ壊れることに慣れたとのたまったステファニーが、今回も新しいホンダ(六作目とは違うホンダ)を購入してさっそうと登場。
しかしじーちゃんには逃げられ、ちょっといかれた友人が消え、もうひとりのちょっといかれた友人もいつの間にか姿を消す。
後者二人の失踪事件の裏には、不法なタバコが絡んでいる?
いえいえ、隠し玉は違法な薬とか拳銃とか、そんなありふれたものではないのです。

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今回も恋愛話あり、弾みですすむ結婚話あり、横槍男あり、仕事横取り女あり、おばーちゃんの奇行あり、ステファニーの実家のカンシャクあり。
そんな感情爆発、直情径行ファミリーに、感情を抑えることのできる姉が登場。
横道にはことかかない展開です。
賞金稼ぎの分際で、普通の老婦人に殴られて両目の周りに跡がつくなんて序・の・口★

でもこの思わせぶりな終わり方は一体。

邦題 快傑ムーンはご機嫌ななめ

ボブと久しく会っていないステファニー、友人に言われた。
「ボブがさびしがっているよ」
「ボブ、電話してくれたらいいのに。
留守電にメッセージ残したりして」
電話ひとつならない家に住むさびしさがしみじみと伝わってくる一場面。
たとえボブが犬であっても。

Hard Eight (2003)

隣人の孫とひ孫が行く先も告げずに引っ越していった。
問題は、孫が離婚するときに、子どもが父親ときちんと会わせますと公約するさい、後ろ盾として隣人の家を担保にかけていたことだった。
住む場所がなくなることもさながら、孫とその娘を気に病む隣人、
私立探偵ではないのだけれど、賞金稼ぎとしても一人前ではないのだけれど、ステファニーは孫探しに一肌脱ぐ。
しかし元亭主はろくでなし、家を担保にとっている会社は悪評判上々、離婚訴訟の間に立った弁護士はステファニーの元旦那、もう一方はでっかいハムスターみたいな男。
それだけでも登場人物たちに不足はないのに、どうしてクマやウサギのぬいぐるみを着た男たちまで出てくるのか。
そんな二匹に家のソファに死体を乗せられたり、車を燃やされたり、挙句の果てにはひき殺されそうになったりして。
失踪した母娘を追うだけなのに、どうしてそんなに邪魔が入る?

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あいかわらずステファニーの周りは誰も彼もてんやわんや。おまけに大ボケな弁護士まで出てきて退屈する暇もなくおもしろかったんだけれど、展開としては賞金稼ぎのほうにしても、もう片一方のトラブルメーカーにしても、そんなに他力本願な展開でいいのかい?

邦題 やっつけ仕事で八方ふさがり

Visions of Sugar Plums (2003)

クリスマスを目前にして、賞金稼ぎがはかどらなくてツリーもプレゼントもそろっていないステファニー。
プレゼントがそろわないのはどうも今年に限ったことではないようなのだけれど、なにはともあれ今年も焦るステファニー。そんな前に突如として男が降ってわいてきた。
ステファニーの追っている男を一緒にさがすと言いはる新参者、天性の鍵開け技術をそなえていたり、ターゲットの男の周りにこれまた奇怪な人物がいたり(ビリビリビリ)、行く先々で怪奇現象に遭遇するSFタッチの大騒ぎクリスマス物語となっています。

いい男は、さらっと去っていくものなのね〜。

邦題 お騒がせなクリスマス

To the Nines (2003)

外国人がビザが切れたら出国させると保証したのはステファニーの雇用主。
あたらしい保証金制度と注目を浴びた矢先に、被保証人が消えうせた。
これからの商売と名誉をかけて、消えうせたインド人を捜せ!
手がかり、友人、頼る先は家族以外ない。
家族は青年の行方を心底心配している。
どこを一体捜せというのか。
あぶないセクシーな男とペアを組んで、とりあえず雇用先から調査に入る。

会ったこともない相手なのだが、この事件に肩入れをするステファニー。
だって青年とともに行方不明になった犬、プードル×コッカスパニエルの瞳が、愛してやまないハムスターとそっくりだったのだから。

しかし青年の行方を追うことで、自分が追われる身になろうとは思ってもいなかった。
家に置かれている見慣れないカーネーション、目の前で事切れる証人。。。
ラスベガスに飛んでもついてくる追っ手。
ハンティングゲームは執拗に続いていた。

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食べるものはまた一段と力が入っているこの一作。
決死の思いでステファニーに頼みごとをする母が鼻先にジャーマンチョコレートパイとラム料理をちらつかせ(パイは非常に手間がかかる代物)、いたるところでファーストフード系の食べ物がでてくる。
そしてそれに拍車をかけるのは"小麦粉・とうもろこし除去ダイエット"
ピザなら具のみ、バーガーも中身だけ食べなさいというダイエット。
これを実行してスーパーモデルをめざす女性が、こりゃまた食べる食べる。
チキンにベーコン、ラムになんやら、犬に追いかけられても食べることはやめられない。

空腹時に読むと、あなたも肉が食べたくなる。(もしくは空きっ腹なのに胃もたれが)

ダイエットとは別にイタリア料理も続々。
マニコッティ(でっかいマカロニに具をつめてオーブンで焼く料理)が元で、ステファニーは男から裏切られたりする。
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感想:

第一線の警官と結婚したら心配の種はつきないという。
こんな彼女と結婚したら、警官でも心配の種はつきまい。

Ten Big Ones (2004)

冒頭から大荒れ。
ステファニーと相棒が店先で立ち話をしているだけで自転車が拳銃で撃ちぬかれ、強盗が店から走りでてき、怒り狂う店主も後から走りで、車が爆発して、消防車がかけつけて、警官も集まってきて、知り合いに笑われて、BFもあきれて、と相変わらずの早い、展開。
そしてあっという間に町のギャング団から追われる羽目になる。
若い者は命知らず、
他人の命は非常に軽い。
親兄弟、大好きな人を危険にさらしたくないと家をでて、今夜のねぐらにも困る始末。
それでも小物の仕事をこなすため右往左往するステファニー。
そんな中、ギャングはステファニーをかたづけるために、殺し屋を呼びよせた。

以前の知り合いが華々しく登場。周りは結婚でひと騒動。女三人お笑い暴力事件も起こしたり。
今回も派手なアクションが満載だ。
しかしこのラスト、モラルというものはないのかい。

 この本ネタばれはじめました。まだまだ更新中。

Eleven to Top (2005)

賞金稼ぎのハードワークに嫌気がさしたステファニー、突然転職を思いたった。
もう体当たりで体中汚れる仕事はもうたくさん。
まずはあこがれの(あこがれているのは母だが)ボタン工場に面接に。
まっとうな仕事に就こうとたゆまぬ努力をするステファニーだが、なぜか車が破壊されたり爆弾を仕掛けられたり、一体どうしてそんな目にあうのだろう。
そんなかたわら、50過ぎの男が仕事先から新車で帰路に着いたまま行方不明になった話を小耳にはさむ。ただの失踪事件にもみえるのだけれど、なんだかきな臭い。仕事のかたわら調査に入るのだけれど、それと同時に賞金稼ぎの仕事に手伝いに狩りだされたり、まっとうな仕事を紹介してくれる人がいたり(条件は黒装束)、結婚式に付き添いを指名したり、周りからひっぱりだこで体がいくつあっても足りやしない。
そして爆弾魔もステファニーのことをそうっとしておいてくれる気配もなく。

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なんだか非常に笑えた本。
ステファニーは彼氏やもうひとりのいい男、そして母、姉と息の合ったかけあい漫才、気のきいた一言があちらこちらに満載されている。
ただいつもに増してあらゆるものが破壊されていくのでモラルを忘れて深く考えず、
アメリカ映画を見るつもりで読んでいった。
ストレス解消には非常によろし。


食べるほうもお盛んで、ドーナツ、ピザ、フライドチキン、チョコチップクッキー、、家庭料理のミートボール、ストレス解消にどんどん平らげていく。
バースデーケーキ7人分を6人分くらい一気食いしたくだりにはこっちまで気分が悪くなったけれど、これはほんの序の口で。
音楽に思い入れがある人が楽器をぶっとばされたらシャレにならないと思うように、
"ケーキ"の行く末にはわたしにとっては悔恨の後味となってしまった。
アイシングべたべた、着色料満載じゃなければ、わたしもたらふく食べたいなぁ。


ついでに装丁について一言。
イギリス版装丁を目にしたとたん、大型本なのに財布の口が開いてしまった。
前巻も同じ系統の表紙で、はじめて本屋で見たとき買いなおしたくなったほど。
本の表紙なんてどーでもいいと思っていたけれど、
かなり購買ポイントを上げるものなのだと、今更ながら思い知った。
夏休み明けで銀行残高がそれでなくてもこわいのに。


2005/08/27 この本ネタばれはじめました。まだ更新中。

Twelve Sharp (2006)

賞金稼ぎ業は人手不足。裁判所に出頭せずに逃げているやからは五万といるが、彼らをケイサツに連れて行かないことには賞金稼ぎ事務所はつぶれてしまう。
けっきょく事務所は広告を打つ。それと平行してなじみのキャラがまたいつものてんやわんや。と、読み手にとっては楽しく過ごす中、常連キャラの一人、レンジャーをめぐる事件がはじまった。
大勢の人が出入りする中とうとつにレンジャーの「妻」が登場、そして遠く離れた州で実の娘が誘拐された。報道によると誘拐犯はレンジャーらしい。それが本当だったらどれだけいいか。娘に危害はおよばないだろうから。
どうもこれが本題、しかし話はいつも外れていく。
ニューハーフバンドにブラック巨体のオンチシンガー。
棺おけのふたを開けさせないように母から諭されるステファニィ、それでも目的物に向かってまっすぐ進むおばあちゃん。それを制するため娘を食べ物で釣る母親。
枝葉と脇役のてんやわんや、いつもの騒ぎが多くて本題がなかなかすすまない。


大筋はかなり重い事件はずなのに、この作者にかかると、よい子な被害者はけっして悲惨な目にはあわない、という前提にのっとってゆったりと読ませる、さすがロマンス出身作家。
ラストで、ステファニーは援護者たちから引き離され、誘拐者の言いなりとなっているにしてはハラハラ感が、ない。そのあとの終焉に関する糸口、話はどうみてもむこうから転がりこんできて。
娯楽コメディ小説、脇役がてんこ盛りすぎ。
でも、常連キャラの若いにーちゃんたちが、カッコイイから許してあげよう。
キャラ萌している方々には見逃せない一冊。
読後の余韻もちょっとはあるし。


Lean Mean Thirteen (2007)

扱いに年季が入りすぎだぞ。
驚かされたり脅されたりに場数を踏みすぎてお前、それが普通になってきてるだろう。
あんなヤツを軽く鼻であしらいやがって。あいつは精神異常者だぞ。生粋の精神病質者だ。そんなのを手玉にとりやがって。

そう彼氏に言わしめる彼女ってどれだけいるだろう。
それも30前半になって。
それでも若いよ。心も体も。
よく言えば幼心を忘れていない人、
悪く言えば 大人は子供が大きくなっただけなんだなぁと、つくづく納得してしまう行動と感情の噴出が次から次へと沸いてくる。


ジャネット・イヴァノヴィッチ、ステファニー・プラムシリーズの13巻。
つものおなじみのキャラや昔捕まえたキャラたちがぞろぞろ出てきて、
また警察に人を引き立てるのに四苦八苦し、いつも話の前半、中盤では成果は芳しくなく、
年季の入ったいじわる女、ジョイスはステファニーの足をひっぱるために悪評を立てまくり、
お母さんは噂ばかりたてる娘へのストレスをアイロンがけという行動で昇華しようとする。

メインの話は、ステファニーの元亭主が血痕を残して行方不明になる。
第一容疑者は、その前に元亭主の仕事場に現れて、喧嘩沙汰をおこしたステファニー。
元亭主の書いていた遺言で、多大な財産を相続するのはステファニーということになっていた。
現彼女、永遠のライバル性悪ジョイスがこれに納得できるはずがなく、
ステファニーが殺したのだとタブロイド紙にたれこんだ。
はい。なにやかんやともめてますがステファニーは日々の食事をおおいに楽しんでおります

いつ読んでもこのシリーズは正しい食生活と、きちんと節度を持った生活をしたくなる。
ぶっとんだステファニーの実家は堅いハンガリー系のお母さんが切り盛りしている。
ぶっとんだ祖母と、もうひとつ頼りにならない父の中で、堅実に生きようとする常識を持ったお母さん。
話の中で唯一しっかりものな方の存在感は大きい。
 (8巻のウサギをはねただけなのよ、という発言はあったにしろ)
机の上に辞書をおき、座って鉢巻をしめて英語を学ぶ方にはお下劣すぎるかもしれない。
英文学の中に気品を求める方にも不向き。
アメリカ娯楽映画爆発バンバン、拳銃バンバンを見慣れている方には楽しめるかと。
おなじみのキャラが続々登場して、お決まりのパターンにのっとっていつもの行動にでる。
登場する限りは誰もが一騒ぎ起こさないことには退場しない。
お決まりのように決死の事態に何度も追い込まれ、5分おきに身の危険にさらされるアメリカ映画そのまんま。
わたしは、
なんだかこの秋の夜長、もの寂しく、人恋しくなって、この本を本棚の中から引っ張り出しました。
いつもの変らぬキャラに会いたくなって。
底抜けに自分に正直な人たちに会いたくなって。
でも、読みすぎてこのパターンが普通になったら、自分の社会生活は危うくなるだろう。。。

キャラが勝手に動き出して止まらない〜、という感じで、キャラぶっ飛んでます。
寂しさなんてもうどこかに消えうせてしまった。
今はラザニアとチョコケーキが食べたいです。
はい、今晩のステファニーの実家の手料理はラザニアとワイン、そしてチョコケーキです。


Fearless Fourteen
レンジャーの警備会社の顧客が軒並み盗難に。
侵入時はアラームを切って、15分くらいの間に手際よく盗んでまたアラームをセット。
内部の犯行か。
動揺するメンバー、底に泊り込みに現れるのは、パジャマ姿のステファニー。
ボーイフレンドと喧嘩別れして、フリーの今、レンジャーとの進行はあるか。
その一方、ルーラは殺人現場を目撃して、犯人たちから追われる羽目に。
銃撃、火炎瓶なんのその、犯人にかかった懸賞金を目当てに、ルーラは彼らを捕まえようと。
普通なら逃亡して逃げるよ、こんなに過激な連中から追われたら。

本筋と同時に進行するのはチキンバーベキューコンテスト、これで優勝しようとルーラはステファニーのおばあちゃんと奇妙なBBQソースの創作を重ねる。これを食べた人はトイレの住人になるという、強烈なソース。どうしたらそういうものができるのか。

  読んでいるうちにどうして自分はこんな話しにはまってしまうのかと思うほど、アメリカ映画。
5分おきに銃撃戦と火災にどたばた。
ウケ狙いのばたばたとワンパターンな展開。
でも、いい男が軒並み出てくるから、いいとしようか。
もちろん入れ歯のじーちゃんや女装癖のある胸毛男なんかもちゃ〜んとでてくるし。

 しかしステファニー、いつまでたってもステファニー。映画を意識したような、見せ場を満載。お笑い満載。まじめに読む本じゃないなぁ。



Plum Lucky
馬登場。。。
このときのハルの姿に、惚れたね。

Plum Spooky


おサルが出てきます。
おサルがいるとすいすい進みます。
おサルが行方不明になりました。 数日間、読むスピードが途絶えました。
そしてふたたびおサルが復活しました。
スピードアップです。

おサルがメインなのか、ステファニーがメインなのか、わからない読み方をしました。
マリオとクッキーを愛するサルです。
ゲームをしている人を見ると、サルに見えるようになってしまいました。
異次元人間、ディーゼルがメインだけれど、話の流れは通常のシリーズとかわらない話でした。
しかし、サルの存在感が強烈で(と、サルの感想文になってしまいそう)




主人公:Alexandra Barnaby

Metro Girl (2004)

パーティーには来ないのかい。
他のみんなはもうここにいるよ。
君の弟に彼氏。
一緒にいたいと思わないのかい?


携帯に電話が入る。
とらわれの二人を救いに、ピンクのミニスカートのよく似合うアレクサンドラは、黒幕の隠れ家に乗りこんでいく。
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車の修理工場育ち、過去に芝刈り機でゴーカートを作ったこともあるアレクサンドラは、現在30才、普通のOLの生活をしている。
しかし真夜中かかってきた、弟からの長距離電話が生活のの風向きをかえる。
「しばらくここを離れるけど、ママには心配しないでって言っといて。誰か僕を探しに来るかもしれないけど、何も言わないでよ」
ボートのエンジンでかき消されそうな声はとつぜん途切れ、背後で女の悲鳴が。

それきり連絡の途絶えた弟。
飛行機に乗って駆けつけてみると、弟のアパートは荒らされ、人の気配はまったくない。
金目のものは残っている。
押し入った人間はなにが目当てだったのか。
弟の仕事先の船着場では、電話があった夜に守衛がひとり殺されていた。
途方にくれているアレクサンドラの前に妙にルックスのいい男が現れた。
超有名なレーシングカードライバー。
頭の中は寝ることしか考えていないような男だったが、ボートのことも少しは考える暇があったらしい。
大枚はたいて買った船を弟が乗って逃げたというのだ。
最後の電話で弟が、彼なら信用していいと言っていた。
弟のため、ボートのため、ふたりで行方を追ううちに、数十年前に海底に沈んだ金塊の噂に行きあたった。
どうやら弟は金塊探しにいっちょう噛んでいるらしい。
それをまた追う悪者たち(複数?)。
彼らが追っているのは金塊? それとも一緒に沈んでいるらしい爆弾なのか。


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パターンは多少ステファニープラムに似ている。
主人公は30才の女の子、鼻息荒いが、美人でセクシー。
開けっぴろげな性格で運転大好き、ドーナツも好き。
酔っぱらったらハメがはずれ、でも危ない線までは進まない。
脇にはもててもてて困る男が立ち、主人公を旨げに見つめる。
話は家族を中心に展開し、向かってくる敵は巨体でマッチョ。
電話が鳴ればそれは母から。
いつの間にかずけずけと口をきく女性パートナーもつき、
ああ言えばこう言う掛け合い漫才がいつのまにかはじまった。
犬も登場、ビールも登場、踏んだり蹴ったりの汚れ騒動も登場。
一方どこか、よその作者のシリーズのメグに通じるところも。
イマイチ足が地についていないような弟の尻をたたき、
姉さんぶりを存分に発揮する。
はたして姉は弟を追う悪者を蹴散らかして、フツウのOLに戻ることができるだろうか。


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感想 
運転が荒いのはプロレーサーのお墨付き。
しかし全体的にはステファニーシリーズより小粒。
このラストが書きたくてステファニーの話にしなかったのかな。
南の青空を思わせるすっきり爽快な読後感でした。
なによりかにより、この作者、車熱愛がじわじわ伝わってきました。


Motor Mouth
 (2006)
あらすじ:
   カーレースの不正を知ってしまったアレックスと、恋人レーサーヒーローが、誘拐された知り合いの閉じ込められているトラックを略奪。知人を助け出すつもりが、トラックの中には死体が入っていた。
必死で指紋を消し、自分たちのいた形跡を消し、死体もすぐに発見されるように手はずを整えて、トラックを乗り捨てるのだが、なんとトラックの中に、愛する巨大なセントバーナードを置いてきてしまった。
事件関係者からは正体バレバレ、そして警察からは指名手配されるハメに。

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証拠隠滅、死者ぼうとく、死体遺棄、拳銃バンバンやり放題。公序良俗、恋愛モラルにだけはこだわっているのがなんじゃこりゃ、という感じ。
おもしろかったかと自問自答してしまいました。
アメリカコメディ、大衆本。
お堅い委員長や風紀委員さんにはおすすめできません。

FULLシリーズ

Charlotte Hughesとの共著

Full House  (2002)
一作目Full Houseは1987年、Steffie Hallというペンネームで書いたものをCharlotte Hughesとともに書き改めた。

邦題 気分はフルハウス