お江戸/昭和 お食事処
国内ミステリ  ミステリじゃない国内
海外ミステリ  ミステリじゃない海外

ミステリィじゃない国内

一般 児童書
恋愛中毒 山本文緒 夜のかくれんぼ 那須正幹
不倫 姫野カオルコ きつねの窓 安房直子

一般

恋愛中毒 山本文緒 1998年 角川書店 吉川英治文学新人賞 受賞作

(あらすじ)
彼女の元から逃げて家や職を替え3ヶ月、今日は25歳の誕生日。
彼女はきっと僕の居場所を突き止める。
きっと彼女は電話をかけてくる。

はからずも職場のおばさんにそんな元彼女の存在がばれた。
離婚歴があるとか社長とキナ臭い関係にあるとか、スジモノを乗せてベンツのオープンカーを運転していたとか様々な噂が飛び交っているが、「僕」にとっては女を遠の昔に卒業して、黙々と働くだけのただのおばさん。
元の彼女の話がきっかけで、「僕」はおばさんの回想を聞く羽目になった。

30代半ばの仕事の話。
昔の結婚生活。
母親との不仲。
決して明るくなく、友人も少なく、感情を自分の中に閉じ込めてしまいがちな女の地味な日々。
反面、有名人との愛人関係。
のめり込むまいとしながらいつしか自分の精魂を注ぐ愛人関係だった。

--------------
(感想)
登場人物たちの個性が豊か。
「おばさん」や、他の愛人たち(有名人にとっての「羊ちゃんたち」)、有名人の本妻(お嬢様の鑑かがみ)、突然登場する19歳の娘、そして学生時代の友人、夫、皆の喜怒哀楽、心の動きがいじらしい。
そんな風に読み進めながら、タイトルはどうして「恋愛中毒」? といぶかしかった。
最後の最後に、離婚に至る経過ともうひとつの修羅場が明らかになるまでは。

そこまでするかと思うのだが、この作家にかかると「あっても不思議ではない展開」という説得力。
ひしひしと伝わってくる現実感、女の切なさ。
粘着性も正当化?
なんだかホラーな話でした。
恋愛適齢期の男の人、読んでね☆
--------------

(ちょっと「はらぺこ」引用)
あからさまにイラついていた生意気な高校生が、ファーストフードを平らげてしまうと急に社交辞令を口にした。
「お腹がいっぱいになったら機嫌も直ってきたようだ。やっぱりまだ子供なのだ」

山本文緒オフィシャルサイトhttp://www001.upp.so-net.ne.jp/fumio/
   
-------------------------------------


不倫(レンタル) 姫野カオルコ 1996年 角川書店

       引用にシャンソンあり、三島由紀夫あり、旺文社の英文標準問題精講あり。
                    こんな文学があってもいいじゃないか。

力石カコちゃんになり損ねた力石理気子さん、34才は美人のポルノ作家。
「殺人を犯したことのない作家がなんとか殺人事件とかを書くのではないか。
処女の作家がポルノを書いてもいいじゃないか」
それでも、理気子さんは出会いを求め、今日も努力を怠らないのでありました。が、言い寄る男には武道の技をかけ(口ではイイと言いながらカラダはいやと言う)、ひっかかってきた男には、裏表なく自分の数奇な運命と感情を語り(お嬢さん、そこまで言っちゃあ変なオンナだよ)。この話、笑っていいのか、ひたむきな理気子さんと一緒に悩んでいいのか。
それにしても引っかかってきた男が恋愛に手間ヒマかけるナルシストのロマンチスト。
手間ヒマかける時間を持たない理気子さん、一体どういう手に出るやら。
なにはともあれ、理気子さんがいれる数々の突っ込みは鋭い。

しかし話の中にしばしばでてくるダイアモンド、そういう意味があったのね。
最後の最後に大どんでん返しを食らわされた気分でした。
いや、理気子さんからの聖拳かも。
爽快なラスト、一言一言がおいしい、力強く、頼りになる一冊でした。

(以上の文、力石さんに添削されてしまいそうで怖い。)


※姫野カオルコ氏のファンサイトのひとつです。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/2068/
他にも多数あり。

-------------------------------------

児童書

-------------------------------------
夜のかくれんぼ 消えた市松人形 那須正幹著 金の星社 フォア文庫

小学校三年生のおとなしい女の子、テン子は学校でも友だちにも話しができません。首を縦に振るか、横に振るかで精一杯。考えていることを上手く言葉にできないのです。唯一の話し相手は生まれた頃からいっしょの市松人形メリーちゃん。
メリーちゃんになら、学校でこんなことがあったよ、こう思うんだけど、って言えるのです。
ある日、クラスに転校生が来ました。いがぐり坊主の無口な男の子。ついたあだ名が一休さん。
メリーちゃんに一休さんのことを話すと、メリーちゃんは言うのです。
《つまんないわ。ほかのこと、はなして》

一休さんが来てからテン子とメリーちゃんの仲はなんだかギクシャク、大ゲンカも怒ります。ある時、おこったテン子ちゃんがしばらくメリーちゃんと話さず過ごし、ふと気がつくとメリーちゃんはいなくなっていたのです。

----------------------------------
よく考えると怪談? 人形系の話では、内田善美氏のマンガ(マンガというより美術的名作) 「草迷宮 草空間」 や小椋冬美の「Mickey」(どちらも品切れ。齢がばれる)を思い出しましたが、それよりはるかに児童書。幼児期の卒業を読ませる、せつない正統派の児童書でした。
   
-------------------------------------



きつねの窓
 安房 直子(1943〜1993)著

童話。山で迷った猟師が染めもの屋の男の子と出会う話です。じつはその子はきつねの子どもが化けてるのです。それを猟師はすぐに見ぬくのですが、ちょっとからかってやろうと思っているうちにいつの間にか話に引きこまれてしまいました。だってきつねの子は猟師の子どもだったころの風景を見せてくれたのですから。
-------------------------
2003年の夏にインターネットで調べてみたら、この著者の文庫はどれも品切れなんですね。絵本でなら手に入るようです。絵本も絵本でいいのですが、この作者は文だけでも充分視覚的な表現にあふれているので、ちょっと惜しい気がします。何より文庫は安い値段で複数話はいっているのでお買い得なのですから。
なにはともあれ、言葉で色や風景を描くことに長けた著者だと思います。   (こんな語り口調です)

HOME 本の棚