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朗読者 ベルンハルト・シュリンク
ふくろうが私の名を呼ぶ マーガレット・クレイヴン
Breakfast in Bed サンドラ・ブラウン

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朗読者 ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳 2000年 新潮社 
"Der Vorleser" Bernhard Schlink著 1995年出版

倍以上年上の女性と出会い、真剣に彼女の元へと通い始めた十五歳の少年。
しかし彼女は唐突に姿をくらませた。
数年後、思わぬところで再会した彼女の背景には、第二次世界大戦の収容所の影があった。
そしてその後、ふたりは多弁で寡黙な関係を結びはじめる。

少年の見つめるドイツの古びた町並み、大きなアパート、そして彼女。
まじめで、一途な態度は年を追っても変らない。
真摯な視線にまず惹きつけられ、そしていつの間にか収容所という大きなテーマに入りこんでいく。
入りこみながらも、これは淡々と「真剣に想う気持ち」を根底に持つ物語だった。
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読み始めたときは安岡章太郎の童謡(←中学の教科書に載っていた)? と思い、
読み進めるうちにマディソン郡の橋?
と思っていたのですが、なにをどっこい。
いつの間にか引き込まれていった。

描写がいい、内容が濃い、訳がいい。
なによりも視点が確固としている。
自分にひたすら正直。
かといって自己主張が激しいわけではない。
主人公の彼女を見つめるひたむきな目がいい。

街が舞台であり、絶えず人の出入りがあり、戦争をはじめとしたさまざまな複雑な問題を含む話ではあるけれど、邪心のない一途な視線を通せば、心静かに読みすすめられる。
ただ不意に、一言問いかけられた瞬間を除いたら。
「あなただったら何をしましたか?」

この瞬間、なんの関わりもない単なる「読者」から、時と場合によっては当事者になりえた「自分の問題」へとひきずりこまれた。

あなただったら何をしましたか?
彼女がその場に居合わせたとき。
そして、なにがあっても明かしたくない隠し事を、話せば自分に有利になりえる時。
あなただったらどうしました?

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ふくろうが私の名を呼ぶ マーガレット・クレイヴン著 角川書店 (取り寄せ不可)
“I Heard The Owl Call My Name” Margaret CRAVEN著 1973年出版

布教にやってきた若い牧師が見たネイティブ・インディアン居留地の物語。大自然の広がるカナダのブリティッシュコロンビアが舞台。
はじめての地でとまどう牧師に、迎える側は手馴れたもの。
「初代の牧師は白いあごひげを長く伸ばしていた。布教のためには私たちの言葉を習わなければならなかった。「これは何?」「あれは何?」相手がわからないのをいいことに嘘を教えてからかったりもした。今思うと恥ずかしいよ。とても我慢強い人だった。ひげをひっぱる子どもたちにも怒らなかった。どうして知ってるかって? わたしもひげをひっぱってたからね」

また、ある時旅に出た。いつ帰るとも誰にもわからなかったはずなのに、戻ってみるときれいに掃除され、台所にはまだ温かい焼きたてのパンがあった。
そういったエピソードをはじめ、異文化の日々が描かれている。
ひねった文章ではじめは読みにくかったが、森の中で読んでいるようでなかなか雰囲気のいい本だった。

ちなみにAmazon.カナダの読者レビューでは、評価がまっぷたつに分かれている。
「人情にあふれている」という読者と、「かったるい」という学校の課題で読まされた生徒。どうもカナダでは国語の授業にとりあげられているらしい。

同じ著者で“Again calls the owl”というのがあるが、これは作者の「ふくろうが〜」の出版にまつわるエピソードを中心としたエッセイ。

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Breakfast in Bed サンドラ・ブラウン(Sandra BROWN)著

(あらすじ)
扉を開けたとたんに燃えあがる恋の炎。
苦い過去を消化し、堅実なB&B(ベット&ブレックファースト)を経営する女主人。
飾らない服装の下には、限りない美しさを秘めていた。
扉の向こうに立つ感じのいいハンサムな男は、むこう1ヶ月滞在することになっている人気サスペンス作家。
問題は、女主人の大親友が、男の婚約者であること。

しり込みする女主人を強引に口説く男。
三角関係を恐れつつ、ふたりは日に日に離れがたくなる。
ある週末、悪天候でキャンセルが続出し、あわやひとつの屋根に二人っきり!?、と思わせた瞬間、女の大親友から予約の電話が入った。そう、男の婚約者から。
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読みだして数ページでロマンスに食傷してきた。だって出会ってその瞬間に男も女もホルモン激流なんだから。
ミステリに疲れて、ラブラブ・ロマンチック物をと選んだのですが、ひとめ会ったその瞬間に体が反応するカップルの話にはびっくり。5ページ過ぎる頃にはミステリが恋しくなっていました。

目の前にいる女に「世の中にいるのは君だけだ」と思わせられる男はそりゃもてるでしょう。
しかし、女主人の前で婚約者をちやほやし、婚約者がいないとなると女主人をほめちぎるとは。
まぁ、当人同士がそれでよければいいんですが。
「二人のために世界はあるのね、言葉巧みに体巧みに、まぁ好きにおやりください」と、すっかりあてられた気分の読後感でした。
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