☆平安お食事処

氷室冴子

なんて素敵なジャパネスク

「いつかわたしが父上に認められ、都によばれ、簡易を授かることができたら、お迎えに行ってもいいですか」
幼い頃、そういってくれた初恋の君はとおの昔に流行り病で逝ってしまった。

それから時は流れ、瑠璃姫様もお年頃(16才!)、この名門の姫君に見合いの話は山ほどあれど、
おおっぴらな一夫多妻制のこの世の中、瑠璃姫の意志は固い。
「生涯、独身ですごすわよっ」
幼なじみは「『結婚しない』のじゃなくて『結婚できない』」とも言うのだけれど。
しかし、親はあの手この手この手で見合いをしくみ、ついには既成事実づくりに乗りだした。(第一巻の紹介)

−−−−

"小魚ダンゴの汁は、それはそれはおいしくて、一杯のつもりが二杯、二杯のつもりが三杯も食べてしまった。
あつあつの小魚ダンゴを食べるにつれて、体がぽっぽしてきて、力が戻ってくる感じがする。
三杯目のお椀を、そっと置いたときには、かなり意識がはっきりしてきた。"(七巻、逆襲編)


平安時代の京を舞台に、本来なら屋敷から一歩も出ないはずの高貴な姫が、家具を蹴り倒す、裸馬にまたがる、邸を抜けだす、取っ組みあいをする、五枚重ねの装束で川に落ちる、漁師の小屋で飯をかきこむ...。

自分に正直、感情豊か、直情決行、思い立ったら即実行な姫の大活劇。
大奥にはまるで似つかわしくない姫なのに、いつの間にやら帝から文をもらうようにもなってしまう。
帝のお家騒動にも巻き込まれていく。
とにかく破格の姫物語です。
姫を取り巻く登場人物もかなり個性的。
姫に振り回されるおつきの女房(18才)、生真面目の鑑のような侍従、運命に身を任せたようで小細工が大好きな帝の身内たち、薄幸の(玉の輿を狙う)姫...。
キャラ萌するにはとっておきの作品。

ただ、1991年以来続編が出ていない。
連載が終了された理由が「瑠璃がいつまでたっても成長しないから」
作者がご自分の若さと青春で書いたと、今となってはもう書けない!いう説も。
なにはともあれ、瑠璃パワー炸裂、読んでいると強烈に「元気」が出る本です。

以下、他の著作(ごくごく一部)の紹介です。
-------------------------------------
時代物
さ・ちぇんじ(コバルト文庫)
古典、とりかへばやの氷室冴子編。
古典入門版?

現代物
恋する女たち(コバルト文庫)
進学校に通う高校生の日常、女の子たちの放課後...。
あとがきにある作者の高校生活も必読。

シンデレラ迷宮(コバルト文庫)
夢の中で童話の世界に。
ホントの童話の登場人物は、いろいろ考えるところがあるのです。


他、作多数。
-------------------------------------

お江戸お食事処
 Back / Next

HOME 本の棚