リチャード ドイッチ Richard DOETSCH

13時間前の未来  The 13th Hour
The Thieves of Faith
The Thieves of Heaven

同じ家の中で妻を射殺されたニック。あれよあれよという間に警察に連れて行かれ、犯人あつかい。
警察はいう。凶器となったアンティークな拳銃に指紋がついていた、動機もあるのだからと。
このままでは真犯人どころか自分がやったことになってしまう。
偶然、同じ町で飛行機の墜落事故があり、警察は人手不足。
取調べの刑事たちが席を外したすきに、一人の身なりのいい男が鍵のかかっているドアからするりとはいってきた。

「君にはまだ奥さんを救うことができる。」
妻は生きているのか。あれだけ無残に銃弾に倒れたというのに?
男は手紙と懐中時計を渡し、こういった。「ここをでるまで手紙に封を切ってはいけない」
ここをでる?
「君には12時間ある」
???
知りたいことはなにも説明しないまま、男はドアの向こうに消えていった。
それといれ違いに取調室へ刑事たちがもどってくる。相変わらず自白を強いられる中、ニックは錯乱していった。
「ぼくはここを出なければいけない。出て、妻を助けるんだ」
二時間も前に絶命したのはニック自身がその目で見ているというのに。手段をえらばず脱出するためにニックは刑事のひとりから拳銃を奪いとりそのまま人質にとる。刑事の相棒がニックに向かって拳口を向け、銃を離すように、そうでなければ撃つ、と三つ数えはじめた。

ひとつ、ふたつ、みっつ。

衝撃とともに、ニックの世界は暗転し、そして二時間前の午後十時に戻っていた。
隣人の居間にあるTVで、飛行機事故の映像を眺めていた二時間前の自分に。

   ※※※※


そこから二時間ずつ時をさかのぼって、犯人を、事件の原因を明らかにしていくしか、妻を救う方法はない。
過去は未来を気にせず変えてもよい。ただ、一時的に妻を救っても、原因を解決しない限り犯人は妻を追いつづける。
そのときまた同じように過去にさかのぼれるチャンスが得られるだろうか。
とにかく今は十二時間ある。
事件を解明するために夫は動き出した。

   ※※※※

最近日本ででたと聞き、おもしろそうと買った本。

時間を戻るから未来で亡くなる方は過去にはまだ生きている。

湖でおぼれそうになって、そこから一時間もどると、その一時間前にいた場所にかっきり戻ってくるのだけれど、ヌレネズミ。
夜中に八時にポケットにいれたものは、夜中の七時に後退してもまだ入っている。
それじゃ、奥さんの腕をつかんで一緒に時間を越えろ〜、できるかどうかわからないけれど、お前、男だろう〜、
なんだかつっこみどころがいっぱい。
それにアメリカ映画のごとく、20分おきにアクション連発。
鍵をさがしたり、箱を探したり、と、ゲーマーが書いたような本。
けれども話は「悪役はひとり、こいつを倒せ」の単純な造りではなく、悪は悪を呼び、けっこう根っこは現実的。

それになによりこのアイデアやっぱりおもしろい。
愛する人を救えるかも、というテーマもいい。
未来を当てられることに天狗にならずに突き進むこの主人公の朴訥さもいい。
ラストにきれいにつじつまがあいすぎてちょっと残念だけれど。
わくわくさせてくれる本でした。


  以下ネタばれ抵触 それでもかまわない場合は、反転して読んでください。





映画化決定しているらしい。
確かにストーリーに飽きが来ないテンポのよさ、アクション満載。
英語のほうも、「単語を正確につづれない生徒だった」過去を持つからか、単語も簡単で、章立てもカウントダウン方式なのでゴールまでがわかりやすく、途中からだんだん、勧善懲悪、ハッピーエンドとなりそうな展開が見えてきて、気持ちよく読めました。

しかし、夜中の10時から12時間、13時間ずーっと走りっぱなしみたいな話なんだけれど、眠気も疲れも襲ってこない。空腹なんて問題外。
それもすべて奥様のため、かかわる人たちのため。
愛は勝つ。



2011/06/03

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