ジル チャーチル   Jill CHURCHILL
  
                                  (1945年生まれ 本名Janice Young Brooksで歴史小説、ノンフィクションの著作あり)


主婦探偵ジェーン シリ−ズ
1 ゴミと罰  Grime and Punishment(1989) 
2. 毛糸よさらば  A Farewell to Yarns(1991)
3. 死の拙文 A Quiche Before Dying(1993)
4. クラスの動物園  The Class Menagerie(1994)
5. 忘れじの包丁  A Knife to Remember(1994)
6. 地上より賭場に  From Here to Paternity(1995)
7. 豚たちの沈黙  Silence of the Hams(1996)
8. エンドウと平和  War and Peas(1996)
9. 飛ぶのがフライ  Fear of Frying(1997)
10. カオスの商人 The Merchant of Menace (1998)
11.眺めのいいヘマ  A Groom With a View (1999)
12. 枯れ騒ぎ Mulch Ado About Nothing (2000)
13. The House of Seven Mabels (2002)
14. Bell, Book, and Scandal (2003)
15. A Midsummer Night's Scream (2004)
16. The Accidental Florist (2007)

Grace and Favor
1. 風の向くまま Anything Goes (1999)
2. 夜の静寂に In the Still of the Night (2000)
3. 闇を見つめて Someone to Watch Over Me (2001)
4. 愛は売るもの Love for Sale (2003)
5. 君を想いて It Had to Be You (2004)
6. 今をたよりに Who's Sorry Now? (2005)
7 (煙が目にしみる ?) Smoke Gets in Your Eyes (2012)

主婦探偵 ジェーンシリーズ

近所の噂と小中高の子どもたちの子育てに追われる新米シングル。
アメリカンなせいか身のまわりに重犯罪多発。
けれどもコジーな為、どろどろにはならず、軽〜くゆる〜く進んでいく。
書きようによってはどんどんサスペンス、ドンパチにも発展しそうな話が出てき、
サイコ、ドロドロ、家庭騒乱、警察内部情報漏洩、シリアスになりそうなネタが満載なのだけれど、
そこをコジィ路線で軽快に進む。
女・子供の読むもの、という気がする反面、女・子供でよかったな、と思えるシリーズ。 

一巻目だけ一番最初がいいかも。その後はあえて出版順に読む必要はなし。
子どもらは、時の流れとともに成長はしているが、ジェーンと隣人/友人シェリィは変らない。

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1 ゴミと罰 Grime and Punishment (1989)

 四十路なかばにして夫を事故で亡くた。こういう動揺する折は一年間は生活を変えない、と言い聞かされ、今までどおりの日々をすごすジェーン。
 生活に困らない収入はある。小中高、と三人の子どもとペットに追われてはいるが、知り合いも多い住宅街で、そこそこの暮らしはできている。 
 子どもを学校に送った後は、ほっと一息をついて、近所づきあいにいそしむつもりだった。まさか隣人の家に来た清掃業者の女性が、掃除機のコードで絞殺されていたなんて。

 評判がいいと悪いで真っ二つに分かれているお掃除の女性が登場する。
 ジェーンが見た限りでは最低限しかしない女。ゆっくりコーヒーを飲んでいたりするし。
 どうして隣家で事件が起こったのか。
 そして、犯人は近所の人間?
 たまたまその日となりの事情をよく知っていることもあって、ジェーンが犯人を捜しはじめたが、
 近所に聞き込むうちに、自分のトラウマに直面する羽目にも陥っていく。

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2. 毛糸よさらば A Farewell to Yarns (1991)

 結婚してから遠く離れていた友人がクリスマスに訪ねてきた。
  大金持ちと結婚して、家までぽんっと買ってしまうほどの金回りだが、善人な人柄はとまどうほどに変っていなかった。
 ただ、時はバザーに、クリスマスイベントに大忙しな時期。そうも構ってもいられない。
 おまけに連れてきた若い男は鼻持ちならない嫌な奴。
 移動の直後の引越しで、本人も時間が欲しかろう、おもった矢先に事件が起こった。
 偶然?
 彼女を狙ったなら、その入居を知っていたのはだれ?

   ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

いくら目撃者に対しても、警察がそんなにぺらぺら内情を話すのだろうか。
アメリカってこんなにひんぱんに重大な犯罪が起きるのだろうか。それとも、これは小さい町の日常茶飯事?

思う点はいくるかあるけれど、楽しんで読む分には軽く進めていい感じ。
単語も比較的簡単。3音節以上ある単語は地名と人名くらい。
アクションがあるでもなく、葛藤があるわけでもなく、子どもの成長期に近所のミステリがつきました、ってかんじ。
 コジーでとっても読み心地よし。

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3 死の拙文A Quiche Before Dying (1993)

  ジェーンの母が訪れたさい、申し込んだ自伝教室。
  第一回目がはじまる前にまずは一章目を書いてきてください、そういう指示の中、はやばやと一冊書き上げた女性がいた。
   毒舌家で、人を踏みつけにして生きてきた軍人妻。
   鼻持ちならない態度はカルチャースクールでも目にあまる。
   持ち寄りパーティで毒殺され、その手がかりが自伝にあるかも、と思われるのだが、
   毒々しい内容で、誰もが読みこなすことができず。
   一体誰が手を下したのか。   

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※
 こんな口の悪いマダムはおるもんかい、と思いたくなるキャラが今回も登場。
 一条ゆかりの有閑マダムに出てくる成金マダムみたい。
 ネタばれになるので深くは言いませんが、読み終えて、殺すより他に道はあったでしょう、という感想でした。


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4. クラスの動物園 The Class Menagerie (1994)
 
  火事にあった学校を援助しよう。
  社交クラブの同窓生に呼びかけたシェリィ。来て2、3人と思ったところが思いのほか7人にのぼり、近所のペンションで援助の計画をたてることになった。
 開業間近のペンションで、部屋に鍵もそろっていない。卒業以来散り散りになっていた仲間たちが、飛行機で、汽車で、あちらこちらから戻ってきた。
  三度の結婚で、再婚を繰り返すごとにお金持ちになっている女性、整形に失敗して見る影もなくなっている元美人、生まれの悪さを越えて検事にのしあがっている女性、田舎娘を装う大金持ち、薬をやっているんじゃないかとも思える芸術タイプの女性。そういった女性たちがすごすペンションは、昔同級生が排ガスで自殺した家だった。
 長い間空き家だった家で、近所の若者の溜まり場にもなっていた場所だが今ではすっかり様変わりし、洗練されたペンションになっていたのだが、皆が到着した当日から、次々とおかしなことが起こりはじめ、果てには刑事事件へと。

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

 クリスティのヒッコリーロ-ド思いだす内容。
 豪華ペンションで、みんなが高校生の女の子に戻って遠慮なくすごす数日間。
 この人の話を読んでいると、一条ゆかりの有閑倶楽部が読みたくなる。
 一条さんだったらどろどろはもっとドロドロして、豪華はどーんと豪勢にしてくれるだろうなと、つくづく思う。
 それより先に話ももっとおどろおどろしく、登場人物はもっと個性的に、原形をとどめないようなものになっているだろうけれど。
 
 ラストが粋。
 クリスピィの元旦那たちは連絡網を持っているのだろうか。



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5. 忘れじの包丁 A Knife to Remember (1994)

  家の裏が映画の撮影現場、
  映画制作というのはどうしてこんなにたくさんの人が出入りするのだろう。
  長男もバイトで雇われ、主演女優に気に入られた。
  どうしようもないほど自己中心な主演女優。
  鼻持ちならないスターたち。
  その中の一人が控えのキャビンで刺殺され、凶器はジェーンの家のナイフだった。


  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

  ジェーンの旦那ってまったく。
 次回から一冊ごとに元恋人とか隠し子とか出てくるのかと思ってしまった。
 
 この主演女優の「自己中心ぶり」の描写がすごい。
 人の性格を台詞だけではなく、身振り手振りで書ける作家さんだわぁ。


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6. 地上より賭場に From Here to Paternity (1995)

 豪華スキーリゾート地にジェーンの隣人が招待を受けた。
それに同行してジェーン一家と犬一匹、そして彼氏がそろって豪華キャビンへ。
初めてのスキー教室で、ジェーンは勢いよく雪だるまにつっこんでいく。そしてその先にはお決まりのように。

アメリカ原住民の聖地ともいえる墓場にリフトを作るな、開発反対。
リゾート地のオーナーはロシア皇帝の末裔だ。
コロラドの僻地は、ふたつの団体に挟まれて、なんだか人の出入りがとても多いです


  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

 さすが歴史方面の本を書く人、そうなるかい、と思いそうになった一作。
 アラスカの先住民アリュート族を書いたディナ スタベノウがまた読みたくなった。
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7. 豚たちの沈黙 Silence of the Hams (1996)
  
  近所にオープンしたばかりのデリカテッセン、軽食屋。
  混みあう店の地下室で、食料棚の下敷きになった男がいた。
  鼻つまみ者のあこぎな弁護士。うらまれる元は山ほどあったが、どうしてそこで息絶えた?


  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

 行く先々で事件と出会うのも不自然だからと、趣向を変えたのかと思いました。
 でもやっぱり他殺体も発見され。
 そういう旦那、っているんだろうか。
 お互い、他にも選ぶ道はきっとあったと、これも言いたい。
  

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8. エンドウと平和 War and Peas (1996)
 豆博物館の、切れ者女性館長が、博物館に展示をされている拳銃で殺された。
 時は開拓時代再現のフェスティバルの真っ最中。
 スタッフやボランティアならだれでもショーケースの鍵が入手できた。
 豆成金が建てた豆博物館、館長を殺して得をするのは一体誰なのか。
 結婚を控え、恋人もいたような館長、関係者がお互いを信用しきれない目で見る中、新たな被害者が。
 殴られたうえに豆で窒息した模様。


  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

  わたしたち、こういう風に会うのはもう終わりにしないと。
 ジェーンの軽口もまた絶好調。
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9. 飛ぶのがフライ Fear of Frying (1997)

 学校のキャンプ場の下見にカンザスまで出かけてきたジェーンと友人のシェリィ。
緑いっぱい、夜は真っ暗。自然の中で追い討ちをかけるように雨が降る。ジェーンは、死体を見つけてしまう。
またもやおしゃべりしながら疑心暗鬼の推理を繰り広げるふたり。
そうこうするうちに水かさがあがり、キャンプ地が孤立してしまった。
殺人犯と閉じ込められた?

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

思惑が交差し、事態が混線をしながらまたもや「期日以内、山を降りる期限内」で決着がつく。
まさにドラマにぴったりな構成。
お後もよろしいことでした。

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10. カオスの商人 The Merchant of Menace (1998

クリスマスを控え、隣に越してきたカップルは家をクリスマス電飾と音楽で満たすことに余念がない。
ジェーンの家では、近隣の人たちを招いて食事会、クッキーパーティとイベント続きで大忙し。
そこに彼氏の母が、遠方より宿泊にやって来て。
突撃TVレポーターまで現れた。
毒舌で、人のあら捜しとスキャンダルが大好きなレポーター。クリスマスは大荒れ模様。

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

どこかのサイトで、訳者が変わってジェーンがはすっぱになったような気がするとあったが、
今回は、ジェーン自身が後ろ向きで投げやりです。
でも、立ち直りの早さが彼女のいいところ。
元夫の母と現ボーイフレンドの母が鉢合わせするパーティ。
こういう悩みは古今東西尽きないようで。

今回も事件あれども日常が進む。
彼氏の「彼女と義理母の葛藤 」がわかっていない辺りがスゴイ。
彼女の「彼氏の仕事への助言」が連打されるあたりに、思わず噴出してしまった。
噂のお父様の「初登場」がカッコイイし、
お決まりの事件が起こらずしても楽しめるんじゃないかなぁ。

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11.眺めのいいヘマ  A Groom With a View (1999)

 クリスマス前のパーティを仕切る腕を買われて、結婚式の幹事に抜擢される。
 
 料理に花、衣装はすでに手配済み。
 会場は新婦の一族の持つハンティングハウス。元修道院で雰囲気堂々。
 ジェーンはシェリィをまきこんで、式数日前に乗り込んだ。
 得体の知れない管理人。ドレスを仕立てあげていない老仕立て屋。
 親戚周りが突撃で泊まりに来るし、おまけに花嫁の父は難物だ。
 招待客の半数から「欠席」連絡が来ている結婚式。
 近隣一族は皆知っている。屋敷に宝が隠されているらしい。
 わけのわからん人たちにまた囲まれて、ジェーンの希望はただひとつ、とっとと終えてとっとと帰る!
 そして、 そうは問屋が卸さない。
 嵐の夜に、闇の館で事件がおきる。
 

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

  多少謎に予想がつくかな、と思ってはいたが最後に二転三転。
  スティーヴン キング張りに猟奇にせめて欲しかった。

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12. 枯れ騒ぎ  A Groom With a View (1999)

 庭園講座の講師が空き巣狙いに重傷を負わされた。
 空き巣は金目の物を狙わずに、どうして地下を物色に行ったのか。
 予定されていた講座は代行講師が鞭をとる。
 ピンクのマリーゴールドを持ち込んだ講師は、特許の話をとうとうと説く。
 二回目からは各自の庭を回っていく。
 講師の庭は完璧で、受講者のあつかましーマダムの庭は、荒れ果てて、「役場に美観の反すると訴えるぞ〜」という代物だった。
 ジェーンとシェリィは受講者の図書館員をランチに誘い、身元調査に精を出す。
 病人を見捨てて離婚した現講師。気力をなくした病妻は、失意のうちにこの世を去った。
 その復讐に講師にはりついている図書館員。
 先に逝った妻を想い、面影を追い続けている男、
 整理整頓が庭にも出ている男、
 またもや登場人物は十人十色である。
 受講者を観察する傍ら、隣人のシェリィは自分の庭を「園芸レンタル」で間に合わせるることを計画していた。


  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

  始まりがいきなり軽快。

  車用に携帯電話マイクを贈られたシェリィ、
  ただでさえ気を取られるのに。わたしが助手席にいるときは絶対に電話しないって約束して、主張するジェーンにシェリィは軽々言い返す。
  私が電話する相手はあなたしかいないでしょ、あなたは私と一緒にいるんだったらどうして電話しないといけないの。あなたは家にいもしないのに。あなたは私と一緒にいるんですもん。
  ジェーンとシェリーはいつも一緒。。。
  今回は娘たちとその友人の料理教室の復習騒動も、長男のガールフレンド登場もジェーン家のてんやわんやに輪をかける。

※※※※※※※※※※※※ つぶやき ※※※※

 あんなことがったわ、メルに言わなくちゃ、こんなことを言ってたわ、メルに言わなくちゃ、って、
 ただのチクリ屋じゃん。密告屋さんにサツの狗。
 そこをメルも「仕方ない」ですませる。この人も情報だだ漏れ警官です。
 同じ価値観。
 このふたりはそうやって世界を作っていくのかしら。
 目的は「犯人を挙げること」なので、悪くは言っていられないのですが。
 なんだかなぁ。
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13 The House of Seven Mabels

 インテリアのセンスを買われ、廃屋の大邸宅改装に雇われるシェリィ。隣に住んでいるオトモダチも、きっとセンスがある、とジェーンも雇われる。
まずこの判断力に?
そして 
 ー 雇用契約書
    - 文法レベル間違いが多し
    - 破格の安値
    - 条件最悪
    - 作成者、法的知識あり?

 - 「建築士からもらった見取り図」 
    - まちがいだらけ
    - 作成者不明

 - 建物の小有権
   - 正式に話しついてる?

どうでもいいけど、フェミニストで配管も電気も女性ばかりの採用だわ。そういう基準で選ぶもの?
共同で手伝っているサンドラって、いい加減じゃない?
オーナー、騙されていない?
どうする? 話から降りる?
見捨てる?
でも、そんなこと、できる?

他にそんな中、不法投棄、盗難、不審な出来事が立て続けに起きていた。そしていつものようにジェーンとシェリィは被害者を発見する。

  ※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

 1800年代の台所建築についてのレクチャーは非常にわかりやすかった。
 さすが本職、歴史家のジルチャーチル。

 路線がハードボイルドなら、不法な点をそれぞれ多岐に発展させ、事件を起こし、 東欧マフィアとドンパチを起こし、悪徳建築士の暴利を暴きたて、まぬけな弁護士をこけにして大枚を巻き上げていたかもしれない。
 しかしジル チャーチルはコジィである。
 本格ミステリサスペンスライターにはここまで軽快におしゃべり、買い物まみれで話は進められまい。

 まぁ、前作で主人公に疑問を抱いてしまっていたので、ここで路線を変更されたり、
「単なる知り合い」を見捨てたりしていたら、このシリーズを読むのをもうやめていたかも。 

 ラストも、最後の数ページででてくる人が犯人もしくは事件解明の元、というわかりやすいつくり。
 紙の書籍では読者も体で体験できる、「ラスト数ページ」という質感はどんでん返し構築者泣かせ。
 電子ならまだ「騙しやすい」のかなぁ。

 ハッピーエンドとは言えないけれど、"嫌がらせのターゲット"になっていた人の開き直りはすばらしい。
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14  Bell, Book, and Scandal

 町のホテルで推理小説のカンファレンス(会議)が開催される。
 「泊まれば、会う機会も増えるわよ」とシェリィが言い出したのに乗り、近所ながらも泊りがけで参加することに。
ロビーで張っていると、作家や出版社、評論家やネット作家、ゴシップ屋、いろいろな関係者が続々登場。
ジェーンは書き上げた小説を抱えている。

いつものようにシェリィと話をしていると、大好きな推理作家から声をかけられる。
朝食を一緒にしながら話までしてしまう。
自費出版を売り込む話し、敏腕編集者、ゴシップスピーカー、知らない世界をいっぱい聞いちゃった。



そんな中、ひとりの無名作家が駐車場で暴行に遭う。
手には一枚の古い推理小説の一ページを握っていた。


※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

今回はミステリマニアのゲームと、推理小説の書き方&法律上の問題がメイン、事件は二の次?と思えるほど、1/3を過ぎてもミステリにならない。
起こったところで3/4待たずに事件が解決。
後はまた小説の書き方、出版の話、本好きには堪えられない一冊?
豪快に買い物をして、イベント中に本を読んで、そして出版の話が続く。


前作に引き続き、ジェーンとシェリィは百合ではない!と反論する場面があった。
そう叫ぶシェリィが「わたしをコケにしたらただではすまないわよ」
そしてどういう展開になったかというと、あらコメディ。
コジィってやっぱり、いいなぁ。
思っていると、「どうして夢をみてるだけでなんにもしない人がいるんだろう(詳細うろ覚え)」というような辛辣発言登場。
うそのなかにほんとをさがせ。
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15  A Midsummer Night's Scream

 刺繍教室に週二回通う傍ら、夜は毎晩芝居の舞台稽古に立ち会うシェリィとジェーン。
 脚本家は絵に描いたような憎まれ役。
 初日から波乱を起こした末に、スタッフ/役者総スカンを食いかける。
 一波乱おこりそう。
 老女優から衣装係、十人十色の登場人物が入り乱れる中、またもやいつものように刑事事件が発生していく。
 ひとりは息絶え、ひとりは昏睡。
 被害者の元に巨額な現金が隠されていた。
 ゆすり? 正当な金?
 

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※
 
 
今回はいつもと違う。

事件の調査に、警察官の彼氏の視点が使われている。
エピローグで登場人物のその後が書かれている。
けれどそこに執着するほど感情移入ができなかった。
この人の、シリーズ単発登場人物は次巻で姿を現すことがごくまれで、その後は勝手に自分の人生を歩んでいるのでしょう、というドライなスタンスに慣れていたからかもしれない。
行く先がどんでん返しの華々しいものが最後に隠されていたらまたおもしろかったかも。

刺繍教室は、かちんとくることはあっても基本的にはみなさんいい人。
劇場でのケンタリング業者の味見は、ただ単に食べているだけ。
おいしかった、冷たかった、評価の内容も自分中心。
こうすればいいのに、ああしたほうがいいのに、という前向きな意見がない。業者さんは十束ひとくくりで個性に乏しい。
今回も外食を重ねるが、メニューの羅列があるだけ。
おいしゅうございましたのね。それはよろしゅうございました、くらいの体温差で読んでしまった。
そして事件にもほとんどかかわらない。

ネットでの評はがっかり、とか“迷ったらもう読むな”とまで言われ。

長すぎる春も儚きことよ。

と、意気消沈して読んでしまったが、反面思ったこともある。
ジェーンは歴史小説にミステリを足したが、著者も元々は日常小説にミステリを追加したのかもしれない。
周りの人はみんなそこそこいい人。収入は安泰で、いつも一緒の友だちがいて、彼氏もいて三人の子供はまっすぐ育つ。
少し退屈だけれど安定した中、仕事もやりたい仕事が結実し、とんとん拍子ではいってくる。
欠点や苦労のの少ない主人公は読み物としては物足りないが、こんな人生を送ってみたい。

あと一作。
最終巻で、今まで読者から不評だった点をあれやこれや昇華させ、隣の有閑マダム、シェリィに独立起業をさせて、フレンチ菓子の店を出させたりなんかしたらきっと面白いだろうなぁと、
読むだけの人は勝手に想像するのだった。

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16  The Accidental Florist

 以前ジェーンがプロポーズされたとさい、もらった指輪は結局再度メルの手に戻り、金庫で保管されていた。
 あれを返してもらえる?
 女から切り出す結婚話。話は調子よく進む一方、新旧の義母、ジェーンの両親、枝葉に退屈しそうではない。
 それと平行して、ジェーンはシェリィと護身術に通いはじめた。ほんの初期コース、週二回を二週間。講師は五十代の女性。
 メルが「年のいっている女性」といってたのがちょっとひっかかる
 わたしたちももうすぐそういう年なのよ。
 ジェーンの仕事も快調で、お決まりのように行き先で事件が起きるが、もうわざわざ鼻をつっこみにいく気配もなく、捜査は完全に警察任せ。
 ちょっと変った名字の被害者。
 同姓のひとがふたり、事件当時遠方よりたまたま近辺にやってきていたが、これって偶然?

(

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※
 
「ちゅうちょするなら読んではいけない。
A Midsummer Night's Screamであれ? と思った人は、もう読むのをやめなさい」
ネットで評をチラッと見たのだけれど、結局、その通りでした。
想い出は美しいままがよかった。
アメリカって倫理観がやっぱりぶっとんでる。

義理母とよっぽどの確執があったんでしょうかね。
義理母の悪口を息子に言う。息子も同意。
でも、息子にとっては義理母も血縁。
遺伝子でつながっている人の悪口を言われて、そのまま母と住んでいけるのかなぁ。
お父さんがいたら、どう思ったとか、そういう広がりもない。
嫁の愚痴/復讐物語から出られないあたりが薄っぺらい。
どの義理母ともそりの合わないジェーンをふって、彼氏が若い部下に走ってもいいんじゃないかなぁ。
ジェーンなら明日は明日の風が吹く、と歩き去れそう。
彼氏も自分の部屋を作ってもらって喜んでるだけだし。
割れ鍋に綴じ蓋。



40代からのお仕事&人生再出発、濡れ手に粟好きで大家族で毒親毒義親に苦労しているかたが落ち着いて読める本。
既刊のうちでは最終巻。
結局ハーレクイン。結婚したらハッピーエンドらしいです。 


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Grace and Favor シリーズ

1 風の向くまま Anything Goes

1900年代前半、大恐慌での不景気の波を食らい、日々の生活に困るリリィ(24)。
突然兄のロバート(26)とともに、遠戚の遺産を相続する話が寝耳に水で届けられた。館、動産、不動産、全部まとめると億万長者。けれども正式に相続するためには、十年館に住まなければいけない。
館の管理は信託が見てくれるが、自分たちの糊口はしのげない。着る物にも困ろう、小遣いもない。
けれど10年後でもまだ34才。お金さえあればきっと再出発もできる。リリィたちは弁護士を住み込みにさせ、その下宿代をもらうことで、館に落ち着くことにした。

でも、そもそも前に住んでいた大伯父はどんな人?
ヨットの事故で亡くなったと聞いたのだが、どうも殺人の噂があるらしい。
当時ヨットに居合わせたのが地元やニューヨークで幅をきかせている人たちばかりで、地元の警察官も我が身が可愛く、つっこんでは調べられない。
だれも真相を知らない。事故に居合わせた人々は、誰もが口を閉ざしている。

妹はあーだこーだ言いながら、兄を連れて事件の聞きこみをはじめた。

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

歴史専門の著者が書く、大恐慌以降のアメリカにおける田園生活。

前作のジェーンシリーズからすぐに読みはじめたので、読みながら知らず知らずに較べてしまう。
ジェーン不信の偏見の目で読むと面白くないのはわかっている。感情移入はイマイチできない。
にもかかわらず、登場人物の存在感、隣家を内情、村の様子、森の抜け道、と描写がよくて結局読んでしまう。
ときどきイギリスの田舎? と思えそうになるほど田園。
電気機器が少ないので、ゆったりした調子で読める辺りがいい。
あいかわらず枝葉のスパイスも効いているし、料理もふんだんに登場。
禁酒法時代にワインも出てくるし。楽しむ種はつきない。

ただ、やっぱりひっかかるのがヒロインの性格。
こんな場で大勢の前で発言するかい、あんた、といいたいほど典型的な探偵ものを演じるし。
またもや話しながら考えて、空気を読まずに爆進するヒロインが登場です。
それでも目を離せない。
この兄妹、この先どうするんだろう。

なにはともあれ、犬にそんな名前をつけるかい。
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2. 夜の静寂に In the Still of the Night

館は部屋だけは余ってるんだから、下宿人を入れない? それともイベントを開いてお客さんから参加費を徴収するとか。お客はお金に困っていない人にしぼって、それなりの費用を払っていただきましょう。
建物の改造もなにも館のためだし、なにより仕事ができて社会に貢献よ。
リリィは兄や弁護士を説きふせて、日々の向上に努力する。
相続まであと9年と11ヶ月。なんとか暮らしていかないと。

第一次世界大戦後の経済恐慌、不景気の中ヒットラーの足音が聞こえてくる。
時はリンドバーク事件の最中。

まずイベントに来ると連絡があったのが著名な男性作家。招待客はそれにあわせ、昔その作家のことをリリィに教えてくれた先生、昔の知り合い、それから裕福な幇間。
みな続々と館に集まってくる。一方下宿人の部屋を自分のものとして利用する大家のおかげで、 いい下宿人が流れて来た。
設定はどこかクリスティを思い起こさせる。
作家の先生が部屋にこもってしまったらどうしよう。会はうまく進むかしら。
心配するリリィに問題は他から降ってくる。
「どうしてあの女(ひと)がここにいるの? 私の紹介でこの会を知ったですって。そんな風に私の名前を使うなんてひどい」
招待客の間のいざこざ。
戦争体験生々しい夕食後の一時、
ことはなんだか穏やかには進まない。
語り手によってかなり大きく食い違う過去の話も耳にするし、
本当は何があったかなんて、警察が調べてくれればいいのに。
今回企画の作家を囲む会、無事に済んでくれればいいのだけれど。

そして館内で息絶える人。
どうしてうちでそんなことが!!!

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

十年屋敷に釘付けになるとしたら、第二次世界大戦までこの兄妹と見ていくことになる。
近代史をこういう風に読むなんて思ってもいなかった。

ここに出てくる困ったチャン、単なる男好きの色魔なのか、妖婦なのか。
妖婦といえば山岸涼子。
あそこまでの雰囲気が、欲しいなぁ。

この巻はあるミステリサイトで花丸がついていたんだけれど、今の自分の旬からは外れている。
この作家、ゆすられるのが嫌で過剰防衛を起こす人たちが毎回出てくる。
そういう手段しかないのかい?



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3. 闇を見つめて Someone to Watch Over Me

料理人をつとめている、弁護士の妻、ただいま畑に凝っている。
世間の農夫は種も買えず人も雇えず。
地元の経済を少しでも廻し、自らの家計も助けようと館の主ロバートが地元の人を雇って廃屋になっていた氷室の解体にあたった。
扉を壊すと中から臭気が。

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

ひとつの話に事件が二件。
視点が散漫だったのか、こっちの注意力が散漫だったのか、読解力の問題か、とにかく読みにくかったけれどなんとか読了。

各戸、車二台、鍋にはニワトリ一羽をめざせ、
株価はとどまるところを知らぬほどあがっていく。
そんな黄金期から唐突に振ってきた金融恐慌。
アメリカの歴史では、この時代が一番どん底にあたる。
そこから大統領が変り、また盛り返すのだが、それはもう少し先の時代。
悲惨な状況から、逆境の中盛り上がる。
そういう舞台が現実にあった時期。

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4. 愛は売るもの Love for Sale

得体の知れない男たちに、週末部屋を貸す話をつけたのは、大金に目がくらんでのこと。
食事以外は邪魔しないでくれという顔を隠した男たち。
早く週が明けて出て行ってくれればいいのに。

同時期に、地元の小学校で代行の先生を3週間ほど務めることになった。
算数と国語はリリィが教える。体育関係は午後兄が。
村の学校で、女の子に学は要らないとされる時代。男の子も読み書き算数ができるようになると働きに出る。
本来の先生のしつけがよく、教育指導のポイントも書き残してくれたおかげで、苦労はない。
けれど、少しは指導も練らないと。

週末にはいり、館の女主人モードに戻った途端、借り手の客が飛び込んできた。
― 警察を呼んでくれ。人が。
― 救急車はいらないの?
― どこからみても手遅れだ
被害者がどっぷりと漬かっている湯船は赤く、湯も部屋も、熱気はとおの昔に冷めていた。

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

館で起こった殺人事件、休暇をとって姿を消した謎の下宿人、鉱山の事故(?)
ポイントがはっきりしていて非常にわかりやすい話でした。

単発の仕事を糊口しのぎに請け、そのたびに全力投球。横合いから事件がふりかかってきて、警察からじきじきに事件の捜査の手伝いも頼まれ、真相究明のために聞き込みにまわる。舞台はアメリカ。
現代ならジェーン、第二次大戦前ならリリィ。
ご気質は同じ。
食べるのも大好き。
ジェーンのコスチュームプレイか、前世を語るかのような話。ジェーンとシェリーは前世では兄妹だったのかも。


5. 君を想いて It Had to Be You

時はルーズベルト大統領就任、パレードの参加にはるばるでかけたロバート。
その留守中に、流しの商人が現れたり、リリィが臨時の仕事を見つけたり。
今回は一時的に養老院、(療養場?) を兄妹で手伝うことになった。

あんたの兄さんって、あの男前かい。
うれしげな入院女性たち。
一筋縄では今回も行きそうにない。

思っていた矢先にひとつの病室から叫び声があがった。
「ウチの人の呼吸が!」
「これは殺人よ。ニューヨークで働いていたときに、こういうことがあった」と看護婦
早朝、息子が立ち寄っていたが、この息子、母親と仲がわるかった。
さて、誰がどうして手を下した

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

 リリィ、老人の不幸を祈るなよ。
 この作者、いじわるばーさん、いじわるじーさんに容赦ないからなぁ。
口の悪い、いじわる高齢者予備軍のわたしは、 ページをめくりながらどきどきしてしまうよ。
 心臓に悪いミステリでした。
 


6. 今をたよりに Who's Sorry Now?

郵便局がなくなった今、郵便物は駅にまでしか届かない。
プライベートのない状態にロバートが改善策をもちだした。
駅に分別箱を。

この係に依頼しようと思っていた駅のポーターが殺害され、村にナチスの反共産党色が強くなってくる。
ターゲットはドイツからひきあげたばかりのアメリカ人。
仕立て屋を開店し、手堅く商売をはじめたが、
ナチからのがれたというので、ドイツ人の多い村の中でも、ひとり異色を放っている。
そして図書館のドイツ語本が店頭で燃やされる。
犯人の目的は?

※※※※※※※※※※※※ 感想 ※※※※

キャラに共感できることがいかに大切か、
共感できないキャラをシリーズで読んでいるとよくよくわかります。


7 Smoke Gets in Your Eyes (2012)

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