J.A. ジャンス (J. A. JANCE)著
作者オフィシャルHP http://www.jajance.com/

この人の本のいいところは、メインの事件の枝葉に、ふと心温まる挿話がある。
そこで出てきた人が、あとから事件の中で重要な役割をはたす、というような細工が、一切ないところ。
ささいだけれど優しい出来事、そういうものに会いたくて、毎日生きているような気がする。

J.P.ビューモント シリーズ
Until Proven Guilty
Injustice for All
Trial by Fury
Taking the Fifth
Improbable Cause
A More Perfect Union
Dismissed With Prejudice
Minor In Possession
Payment In Kind
Without Due Process
Failure to Appear
Lying In Wait
Name Withheld
Breach of Duty
Birds of Prey
Partner in Crime

Long Time Dead
Justice Denied
Fire and Ice
Joanna Brady  シリーズ
Desert Heat
Tombstone Courage
Shoot / Don't Shoot
Dead to Rights
Skeleton Canyon
Rattlesnake Crossing
Outlaw Mountain
The Devil's Claw
Paradise Lost
Partner in Crime
Exit Wounds

Dead Wrong
Damage Control

Walker Family Mysteries

Hour of the Hunter (1990)
Kiss of the Bees (2001)
Day of the Dead (2005)
Queen of the Night (2010)

Ali Reynolds books

Edge of Evil (2006)
Web of Evil (2007)
Hand of Evil (2007)
Cruel Intent (2008)
Trial By Fire (2009)
Fatal Error
(2011)

Joanna Brady  シリーズ

Desert Heat (1993)


十年前よ、もう一度、と結婚記念日に、泊りがけのデートを計画。けれど夫は仕事から戻らない。
郡の保安官になる選挙もひかえているので、なにか仕事でもと思いつつも、連絡がないのは変だと仕事先にかけてみると、もう2時間も前に帰宅したという。

夜通しデートのためにベビーシッターとして待機していた母に娘を頼み、人里はなれた一軒家から、暗くなった外に探しに出てみると、橋の下に夫の車発見。そして、その沼地には、瀕死の夫が倒れていた。

時は前後して、元教師が射殺されていた。意識不明の夫は、この元教師を射殺したあと、自害したとの容疑がかけられていく。
出どころの知れない大金、手紙、銃痕、目撃者、証拠は揃っているのだ。
妻、ジョアンナは、混乱しながらも、夫の無罪を信じ、それを証明してやると心に誓う。
どうして結婚10周年記念の前に、夫は自殺をしなければならないのか。
しかし小さな町の噂話は、夫とのあたたかい関係を覆すものばかりだった。

読み手には殺人犯が他にいることがわかっている。残虐な性格をもって、殺しをたのしむ男。
けれどその裏で操るものの姿はわからない。
元締めは誰なのか、ジョアンナは周りを信頼していいのか。
そして、殺し屋に飼われている女は、その男から逃げ切ることはできるだろうか。

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こういう話は通常、構成が先走りすぎて、わたしの頭では何が起こっているかわからないがままに事は展開し、理詰めで解決していくのが普通。
けれどこの主人公は直感に飛びつくこともなく、休息するときは休息するので、思考のペースには難なくついていける。
犯人はおおよそ目星はつくのだけれど、それならどうやって追い詰められるのか、読んでいて皆目見当がつかない。
誰もが誰もを知っている小さな町では大きな事件。
主人公とは関係ないヒト、関係あるヒト、優しい人たちと出くわすシーンがとても印象的でした。


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Tombstone Courage (1995)

娘ふたりと甥っ子を育ててきた夫妻。
上の娘は高校で家を出、そのまま行方知れず。50近くになって帰ってきたと思ったら、今80才の父親を暴行罪で訴える。
家には戻らず、父親には面会権をあたえず、ひっそり裁判を待つ娘。
それでも父親は、示談を持ちかけ、三十年以上行方不明だった娘に、遺産をわける手続きをはじめた。
法の手続きは弁護士になった甥っ子。
この甥っ子を通じてこの話を聞いた下の娘は、すぐさま家をでるという。

誰もが誰もを知っている小さな町で、全国版タブロイド紙に載ったこのニュースは、町では前代未聞の話題をばらまいた。
そして渦中の父親は、ある朝死体で見つかった。

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この人は、文章に息遣いがある。臨場感あふれる人間描写。
主要登場人物のあけすけない気持ちを描写して、どうしてそういう行動にでたか、はっきりわかるように書いてくれる。
一方、感情までは書き表さない脇役の、悪意を想像させてくれる話でした。

しかしどうして、この人はいつもボロボロの格好になってしまうのだろう。。。


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Shoot / Don't Shoot (1995)


警察実務経験が皆無、といえる新米保安官ジョアンヌは、ポリスアカデミィで学ぶことにした。家から4時間はなれたところで、感謝祭をはさんでの40日間コースに参加。
いざ出発という日に、ポリスアカデミィ近くでおこった殺人事件を調べてほしいという依頼をうけた。

息子は配偶者殺しの罪で牢屋に入っている。配偶者の両親は、孫をひきとり、息子の母である自分に孫をあわせてくれない。
このままでは孫にも一生会えない。息子はそんな人間ではないのだ。
管轄外の事件に捜査の権限はない、といいながら、ジョアンナはあいた時間をみて聞きこみをはじめる。
妻は売春をしていた。娘のその事実を知られるくらいなら自分がその罪をきる。
そういいはる囚人。

カップル、夫婦間のいざこざ、DVの末の殺人とみなされているいくつかの事件。
それが連続犯の仕業であることを、読み手だけが知っている。
そして、ジョアンナの間近に犯人が。

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初めての町で食事を取りに入ったパブレストラン、そこのバーガーセット、デザートはアイスにハチミツ、チョコソース。
対人関係の記憶力抜群のバーテンダーと常連たち。
ここも小さな町らしく、誰もが誰もを知っているような。
そんなパブがあれば、ぶらりと立ち寄ってみたくなる。

人間を描かせたら、この作者は天下一品だ。

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Dead to Rights


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J.P.ビューモント (J. P. BEAUMONT) シリーズ

舞台はシアトル、殺人課の刑事、ビューが情の深く、実直で仕事熱心な正義漢。 
仕事外ではカナディアン・ウイスキー、McNaughtonの水割りを愛飲し、ひとりの時間はクロスワードにいそしむ。
二巻でひときわ明らかになるのだが、ビューを取り巻く登場人物がいい。
仕事上の相棒は正しい食生活を尊重する、妻と子どもをセクトにとられた独り者。弁護士はビューに振り回されながら仕事にいそしみ、元相棒とその妻はプライベートより友人を優先。登場人物の書きわけが明確で個性もあざやかなので、カタカナな名前オンチでも混乱せずに読めるのがうれしい。


このシリーズは読みやすい。
活字が比較的大きく、行間がすっきりしている。
一ページあたりの文字数が少ない。
単語がそこそこ簡単。
一文一文が短く、難しい構文が入っていない。
その上、今のところ話のつくりに定型がある。
冒頭にどっと容疑者があふれるのではなく、
ひとりの容疑があやふやになって事件に糸口がなくなると、間髪いれずに次の容疑者が浮かんでくる、といった形。
ストーリーが入り組まず、、誰がその場面の中心に語られているかが明白。
同時にふたつ以上のことを考えられないわたしに向いています。


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Until Proven Guilty  (1985)
シアトルの一角で、五才の幼女が絞殺死体で見つかった。
少女の母親はカルトの信者。
教会の牧師は独善主義者で、児童虐待の気があった。

事件を担当する刑事はビュー。五年前に去った妻がいつか帰ってくる日を夢見て、ファーストフードのテイクアウトを陶器の皿に移しかえる食生活を送っている。

告別式に出向いたビューが参列客の女性に一目ぼれ。容姿端麗、優雅で上品。しかし刑事はスマートに振舞えず、どうやら最初のデートが今生の別れに。
そんな中で被害者の父親が登場。
カルトなんか早く抜けるべきだったんだと いきどおる父親。
しかし、間もなく第二の被害者、第三の被害者が出、いつしか話は地方レベルから州レベルへと広がっていった。
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感想:
事件と主人公のロマンスが同時進行。主人公が女性刑事ならさもありなんが、めろめろになっているヒーローなんて、それも女性作家の書くヒーロー。だらしねぇと思いつつ読んでいたら、ラストが予想外に大きく展開し、かなりのラストスパートに盛り上がってしまった。

後味がいいような悪いような。余韻がちらりと残った本でした。
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胃袋観点から:
一流レストランからパブまで、外食生活が中心に回っているミステリィ。
正しい食生活を愛する相棒が、容疑者を尋問している最中に中座してジンをひっかける場面にどきりとさせられました。

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Injustice for All (1986)

前件から6ヶ月、刑事のビューは休暇で島に来ている。
ホテルで耳にした女の悲鳴、浜辺に駆けつけてみれば男の死体。
休暇だというのにビューは事件現場を仕切り、女を保護してしまう羽目に。
女はワシントン副知事候補の妻だった。

それから数日のうちに、事件が続く。
仕事外の管轄外だが、被害者と最後に会った人間がビューだったとあっては放っておくわけにもいかない。それにビューは被害者と個人的に関わりをもっていた。

そしてある夜、ビューの寝込みを警官が襲う。
ビューの使っていた車が人身事故を起こし、被害者の装飾品が車の中で見つかった。
またもや被害者と最後に別れた人間はビュー。
そのあとホテルに戻ってひとりで眠っていたビューに、アリバイはない。

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いやぁ、ラストは盛りあがりました。
話の流れはなんとなく予測でるのですが、
ではそこに話をどうやって持っていくのかとなると、かいもく見当もつかない。
あぁ、選挙戦はこの場面の下準備だったのか、
ビューとある女性との関係はこの一言を入れたかったためなのか、
そんな伏線をどんどん明らかにするラストでした。

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Trial by Fury (1986)

死後二日ほど経過した絞殺死体が発見された。
北アメリカのシアトルではあるが、その締めかたは白人至上主義団体、KKK特有ものだった。
被害者は黒人の高校バスケットコーチ。
もうすぐ待望の赤ん坊が産まれるか、という時のことだった。
なにか隠しているような妻、
体格のいい義理の父、
娘を傷物にされたと信じる、血の上りやすいビジネスマン、
それとも他のだれかがやったのだろうか。
ビューと相棒ピーターは、あたりをつけて次々と疑わしい人間の聞き込みにあたる。
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ビューおじさまを二作続けて読んだので、次はかわいいコージーを、と思っていたのですがビューと周りの人間にそそられてしまって、ついつい続巻に手を出してしまいました。

バスケットチームの男子高校生たちが、シーズン始めに伝統のガールスカウト・クッキーを待ちわびる。チアガールたちは学年の終わりまでに伝統の...を待ちわびていた。
かわいいコージーとはやっぱり違うみたいです。

ラストは盛り上がる盛り上がる、いきなり映像的な派手なカーチェイス、それも走るはポルシェと一種のスクールバス。
そして事件が一件落着してからも、続巻を読まずにいられない終わり方。
一度読みはじめると次を買わずにいられない、定期刊行マンガ雑誌のような方。

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Taking the Fifth (1987)

現在積読中。

J. A. JANCE J. A ジャンス
1944年 サウスダコタ生まれ、アリゾナBisbee育ち。アリゾナ大学を出て、著作生活に。経歴内にアメリカ原住民居住区にて図書館司書、保険屋もあり。現在シアトルとアリゾナに住む。地元ベースの話がメイン。

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