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グレゴア ドゥラクール Gregoire DELACOURT
(1960-)
公式サイト
文字化けのためアクセント記号は省略

L'ECRIVAIN DE LA FAMILLE (2011)
Ma LISTE DES ENVIES     (2012)
LA PREMIERE CHOSE QU'ON REGARDE (2013)

上記の本を写真で紹介:
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  トップページに本が並んでいる。左から「物書きさん」、「ゆめりすと」、「あなたはそこに」。本をクリック、
  次ページのLivre en imagesをクリック。

  例:「あなたはそこに」、の美形ボーイはここ、そこから>をクリックしていくとページがめくれる。
    「ゆめりすと」、一ページ目はこれ
       そう、これはこういう話なのです。(どういう話だい。。。)



ゆめりすと

熱に浮かされるほど惚れこむ本がある。
最近ではバーバラコンスタンティンのトムやメリトーヴェ・ヤンソンの誠実な詐欺師アメリ・ノトン
これの日本訳はどんな感じだろう、これを押すならどんな責め方があるだろう。読みながら時々考えてしまう。
IKEA,、Le mec de ma tombe a cote
この本はどこが売りになる? 読者対象は? 「外国」に海より深い憧れと幻想を抱いている方々の、夢を砕くことにはなるまいか、

人はこれを雑念と呼ぶ。

誰がどう考えようと好きなものは好き、いいなぁと思うものを心にひとつくらい、大事に持っていてもいいじゃん。
自分のために一冊読むぞ。
思って夜中の二時に手にとったのが、積読本になっていた去年のベストセラー。
グレゴア ドゥラクール(Gregoire DELACOURT)のMa liste des envies.(勝手に邦訳 ゆめりすと)





場所はフランス。中世から取残されたような小さな町、アラス。主人公は手芸店をやりくりしている。夫は近所の工場勤務。現場主任になる夢を持つ。大きくなった子どもたちは家を出て、もう自分の人生を歩む。
時折泊りがけの遠出をしたり、日々穏やかに暮らしている。
近所には妙齢の双子が宝くじを元手に開いた美容院エステ、カフェ、レストラン。スーパー、ハイパーマーケットもある普通の町。

主人公の思い出話や、脳梗塞で記憶が六分ごとにリセットされる父親の状況などで、淡々と話が進んでいくのかと思いきや、さすがベストセラー。
途中で万人(?)に夢を見させるようなエピソードが仕込まれていた。
おまけに主人公はそれ以上やってくれそうな可能性を放っている。
きっと読者は私ならどうする、ボクならどうすると考えながら読むんだろうなと、結局またもやそんなことを思いつつ、想像力炸裂、私利私欲にもまみれながら読了。

夜が明けていた。

自分の心を映し出す、鏡のような本だった。

日本語訳も出版予定。
近々映画になるそうで、馴染みのない風光明媚な観光地も堪能できそうでかなり楽しみ。

 
 2012年出版、大型版 47万部 
      2013年劇場にて上演。
      映画:現在作成中
     メダイヨン デ リセ賞をはじめ三つの賞を受賞

追記: 話の中に本が出てくる。アルベール・コーエンの選ばれた女。(国書刊行会出版 (文学の冒険シリーズ) 紋田 廣子訳)
本慣れしない人が辞書をひきながら読むので、ちょっと文学なのかなぁと思って探してみたら、軽装版にして1100頁の長編だった。
デュマの三銃士より詰まっている。
後から調べるとプルスト、ジョイスの並ぶ文学だという。
コーエンはジュネーブの人で、(1895-1981)。
この本は1968年に出版、翌々年にレジオンドヌール勲章。
はんぱじゃない。
どうしよう。買っちゃったよ。


ちなみにリストはグレゴア ドゥラクール氏の二作目。
一作目、処女作のタイトルを直訳すると「うちの物書きさん」(L'ECRIVAIN DE LA FAMILLE)。



自伝のような本。
主人公が小さかったとき、家は商売を営んでいて、スーパーに押されかなりの苦労があった。
母は美しく、ホームパーティで人が多く出入りする中では、別人に見えた。
寄宿舎生活で家を出るとき、父は心細い主人公の支えになってくれた。
父は父で愛人を作って家を出る。
主人公は大学生になり、幼な友だちと一緒に暮らしはじめる。
広告業でベルギーに就職が決まり転宅。
時々帰る彼女のパリのアパート、
ベルギーでは上司の女性と夜を共にしていることをおくびにも出さず。
仕事は順調で言い値が通る高収入。
結婚、別れ、子ども、大きな家。そして父の発病。
出るものも多い。
そしてまた入るものも。

ここが見事に次作にリンクしている。さすが広告制作のプロ。というか、時空を越えて言葉を操る才能に乾杯。


作ったような波乱万丈はないけれど、書き手の心情が話しかけられるように伝わってくるところは「ゆめりすと」と同じ
そして「ゆめりすと」で描写されていた空っぽの家、介護、母親の思い通りには進まなぬ子の生活が、実話のように詰まっている。
嘘を信じさせるためにはホントの話を混ぜること。
それともホントの話が90%?
読者の想像をj広げさせるのが、物書きさんの醍醐味というところだろうか。
Wikiには妻帯者と書いてあった。
この辺りがまた現実と虚偽の狭間に読者を放りこむ。

行間の想像力がまたもやどんどん膨らむ本。


       2011年出版、大型版で2万部
    マルセル パニョル賞をはじめ五つの賞を受賞

追記:
処女作で、主人公の名前こそ違えなんだか自伝ぽい。大きく出た題名だな、
思っていたら本職が1982年から広告業。大物広告をばんばん出す、広告会社の社長さんだった。

(Wikipediaより)
フランス バレンシアンヌ生まれ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

     
三作目 La premiere chose qu'on regarde (2013)
      勝手に仮題 「あなたはそこに」 (谷川俊太郎氏の詩のタイトルそのまんま。よって仮題)


大型版しかまだ出ていない。
ポケット版になるまで待てないかも。


年の差ラブロマンス? 
持ったらそのままレジに持って行っちゃいそうだから、本屋ではなるべく遠巻きに徘徊し、見猿聞か猿を決めこんでいる本。
今のところは。
2013/11/11

※※※※


以下後日談:

ポケット版になるまで買わないぞ、買わないぞ、と思っていた本、図書館にあったのでいそいそと借りてくる。

小さな町に住む車の修理工。美形だが性格は超地味。彼女ない暦二十年の二十才、まだ男の子とも言える若造クン。
ある日ノックの音がした。
家の前に立っていたのは、うら若き美人。少し年上の大女優。
美人。
美人。
美人。
頭は真っ白、に近い状態な修理工に女優は言った。

- しばらくここにかくまって。

男の子は言われるがまま家に通す。
そして二人暮しがはじまった。

※※※※

真ん中まで映画ノッチングヒルの焼きまわしのようなイメージで読んでいた。
いきなりジュリアン・ロバーツと遭遇した本屋のにーちゃん。
フランスに来ると大女優に車の修理工。
作者はコマーシャル作成業に長いこと携わっている人で、美人の使い方を知っている。
美人は美人であることに自己陶酔させてはいけない。
周りの男を振り返らせるんだ、
と、映像作成の基本ラインがほぼ100ページ続く。
行きかう男は誰もがびっくり。
アルツハイマーで入院している46歳の母もびっくり。
- 貴女、エリザベス・テイラー?
キャトリーヌ・ドヌーブやイザベル・キャレに間違われた経験がある美人は、そういう人たちに穏やかに接していく。
はいはい美人なのねと、、こっちは惰性で読んでいたら128パージ、話の真ん中辺りで美人が直球を放つ。
美人のゆめリスト(やりたいことリスト)はタダモノではない。

別に世界征服を狙っているわけではない。
美人の大変さはこういうところにあるのか、こういう本音を持っている、いい人じゃん、
腰をすえてさぁちょっとまじめに読もうかな、思わせるあたりから話は急に展開していく。
おお。わぁ、発展家。うふふふふ、えへへへへ、え、そんな、え、え〜、という卓袱台返し、バットエンド!? そしてラストは。

無意識のひと言が若い二人の明日を変える。
途中でカップルのウダ話、アメリ・ノトン好きなのよ、言わせたのは作者の伏線かい。(アメリの話もたいがい、自分から据え膳をひっくり返す)

そしてラスト時空が曲がり次元を越えた錯覚にも陥らせる、萩尾望都のようなジ・エンド。
美人があくまでも2でいなければいけなかったのは、このためか。

壮絶さにが挿入されているにもかかわらず、これは読まずに死ねるかい、と思わせるほど存在感があった本。

これも日本語になればいいのに。

原題 LA PREMIERE CHOSE QU'ON REGARDE
著者 GREGOIRE DELACOURT

2013/11/17











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