クリスティン グリーン (Christine. GREEN)著

ケイト・キンセラ シリーズ
Deadly Errand  (1991)  
Deadly Admirerer  (1992)
Deadly Practice  (1995)
Deadly Partners  (1996)
Deadly Bond (2001)
Deadly Echo  (2002)
Deadly Choice  (2004)
Deadly Night (2004)
Rydell and Caldicoシリーズ
Fire Angels  (2001)
Vain Hope  (2002)
Connor O'Neillシリーズ
Death in the Country  (1993)
Die in My Dreams  (1995)
Fatal Cut  (1999)

ケイト・キンセラ シリーズ

看護婦の書く看護婦の私立探偵の話。
読んでいてイギリスだなと感じたのは、調査で訪問する先々で、仕事の合間に、まずはお茶でてくる点。
You like a cup of tea?
たまにコーヒーにウィスキーを出す家、シェリー酒を飲み倒す家もあるけれど、
たいがいは正当にクッキーやビスケットが添えられる。
ある家で出されたホームメイドのビスケットは、糖尿病患者も手を出すほど。

葬儀の後の故人を惜しむ人の集まりに、魚や肉のクリーム煮を詰めた小型パイやキッシュ、ロールパンやサラダがふるまわれるが、これをお茶と呼ぶのもイギリスなのかなぁ。

さてこの私立探偵看護婦、私生活がグルメかといえば程遠く、出来合いのものばかり食べている。
食事にクッキー、ドーナツ、コーンフレークにチョコレート。
時々買ってきたフィッシュ&チップス。
それでも一度、冷蔵庫をのぞくとポークチョップに冷凍チキン、アップルパイにニンジン玉ねぎそして芽キャベツ。
ランチにして人が呼べるくらい。ケイトは考える。
しかし誰を呼べというのか...。

Deadly Errand  (1991) (邦題:看護婦探偵ケイト)

恋人をなくし探偵業をはじめたケイトは29才、元看護士。
はやらない探偵事務所に仕事をもちこんできたのは事務所の大家。
大家の本業である葬儀屋に来た遺族が、娘を殺した犯人を探したいのだという。
娘はあなたと同じ看護婦だったんだよ、
大家は捜査に興味深々、ケイトが捜査をはじめることにとても協力的。
殺人は専門外で未知の分野だからケイトは断るつもりでいたのだが、
直談版にきた遺族に仕事をうけると答えていた。

ケイトは大家のアドバイスにしたがって、被害者の働いた病院で働くことにする。
ボランティア活動に熱心だった一介の被害者は、2900ポンド余り、500万円以上の預金を持っていた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−

足の好きな年齢不詳のさえない大家、
靴を触られるのは構わない。こっちの足さえ入っていなければという主人公ケイト。
大家と店子という関係から、仕事と食事がふたりをつなぎ、一種の友情が発展していく過程がしみじみと。

脇役としては冴えない生活を送らざをえない女、食えない女たちがありありと描かれている。

Deadly Admirerer  (1992)

誰かにつけられている。殺されるかもしれない。
私立探偵のケイトは地区をまわる若い看護婦から依頼をうけたが、依頼人は何度か問題を起こし、警察から疑いの目で見られていた。
依頼人が言うところの「車でつけてくる男」は中肉中背くらい、黒っぽい髪の色、人相は判別できない。
そんな相手にどうやって目星をつけろというのか。
けれども割のいい前金をもらったこともあり、看護婦の身の回りを見張るケイト、
ある日依頼人の入っていった家の中で、死人と、その前で呆然とする依頼人を見つけてしまった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

感想:
読んでいて全体的に派手さのない、質素な印象を受けたけれど、
今回も「女」という生き物をシビアに書いているなぁとしみじみ感じさせてくれた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ケイトと葬儀社経営の大家とは、今回も奇妙な信頼関係でつながっている。
事務所の窓から外を眺めているくらいならもっと仕事を取ってこいという大家に、
「ならあなたは外に出て死体を持ってきたら」と言い返すケイト。
今一パッとしない男ぶりの大家。彼のの助言なしに捜査をやっていっても何の問題もないだろうが、この大家なしに捜査をしてなにがおもしろいというのか。そして今日もケイトは大家のところにクリームメレンゲを持ちこんで、お茶を飲み飲み事件の相談。

この大家、一巻目では無口で視線を靴にはわせるような男だったのに、あの異色のオタク度はなんとなく下がり、ケイトにとって、口の悪い推理パートナーと化していた。
自分の誕生日に死体が出現して喜んだりもするし、あいかわらずケイトが買ってくるハイカロリー、甘さベタベタのドーナツなんかを一緒に食べたり、五十才の誕生日にマークス&スペンサーラズベリーメレンゲケーキを用意したりするけれど、なんだかあの異様な雰囲気は急速に減少。なんとなく寂しい。

Deadly Practice  (1995)

ジャムドーナツとクリームケーキという生活を送りながらケイトはため息をつく。
探偵業も看護婦業も閑古鳥状態。
不景気なご時世、手堅く流行っている商売は葬儀屋くらい?
そんなところに葬儀屋の大家がいいニュースを持ってきた。
どこどこの病院で看護婦が殺された。
看護婦のポストに空きがでたはずだと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−

今回も派手な生活と程遠いケイト。面接に落ちたり看護するはずの患者から門前払いを食ったり。
そうしながらも徐々に事件は近づいてくる。
被害者の人間関係が明らかになるにつれ、過去の事件が明らかになり、他にも命を落とした女性がいたり、行方不明の女性がいたり。
混乱していく中でケイトは意外な真実を探りだしていた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−
雰囲気としては地味なんだけれど、それだけ主人公がかなり身近な存在に見えてくる。
現実逃避用というよりは、あなたならどうする、という感じが強い。
しかし今回もまた、行く先々でお茶が出される。
依頼人との話しあいもまずお茶をすすめられ、聞き込み先でもお茶が出て、おまけに一晩泊まった留置所でも朝一番の会話が「なにか温かいものでも飲みますか?」
そして最後の最後絶体絶命のピンチに際にもお茶はやっぱり登場するのだ。

Deadly Partners  (1996)


ふーど

ちらりと出てくるだけなのに、クリスマス用の買い物が妙に印象深い。

Sugared almonds, Turkish delight, chocolate-covered nuts
上からアーモンドの周りに砂糖が固くコーティングされているもの、
ねちゃねちゃした甘い物体の周りに砂糖だかコーンスターチだかがコーティングされているもの、
そしてチョコで覆われたナッツ?
それから高めの缶入りビスケットも購入。
クリスマスは特別に、って感じでしょうか。
----------------------------

あらすじ

クリスマス前、新しい中古留守電に女性から仕事の依頼が入っていた。
ホテル経営者で現在行方不明の「甥」を探してくれという。
クリスマスまでに帰ってこれるかと心配する大家を置いて、海辺のホテルに泊りこみ、ケイトは聞きこみをはじめた。
フェリーの中で知りあった女性と、甥が留守にしている離れの小屋を家捜しすることになるのだが、この女性、なぜか妙に手際がいい。
不審に思ったまま得る物もなく小屋を後にするケイト。
翌朝女性は小屋の中で暴漢に襲われ息絶えていた。
犯人はケイトを狙ったのか。
捜査を進めているうちに、甥の唯一の身内である叔母はアルツハイマーにかかっていて入院中、とてもまともに会話できる状態ではないことがわかる。
一体ケイトに仕事を依頼したのは誰なのか。
そして何のために?

----------------------------

感想

今回は家から離れてホテル生活、雰囲気が変わって結婚間直のカップルも出てきたりしてなかなかすいすい読めました。
相変わらず色のある生活から身を引いているケイトなので、読んでいるほうがはっぱをかけたくなるほどですが、この地味さにも味がある。
大家とケイトの関係もしもじみ、そして最後のシーンはクリスマス、ささやかでほのぼの暖かいものでした。

Deadly Bond  (2001)

一年間、オーストラリアに住む母親の元に身を寄せた休暇を終えて、ケイトがイギリスにもどってきた。
その間貸しにだされていた事務所は大家の手によって様変わりし、
事務所にコンピューターと携帯がやってきていた。
仕事のほうも大家がしきる。「殺人事件を目撃した女性のボディガード」
しかし事件自体は発覚前で、警察沙汰にもなっていない。
被害者はだれなのか。
目撃者は夫がアラブに出張中で、一軒家の一人暮らし。
無言電話はきっと犯人からだと言うが、彼女の言動のひとつひとつに疑いを持つケイト。

「それらしい失踪者の家族のところに行って仕事をうければ、一石二鳥だ」という大家の案にのり、付近の一失踪者の家も訪ねてみた。
それが数十年前の、家庭のもめごと、少年の失踪事件につながっていくなどだれが予想したのだろうが。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

三十過ぎのケイトと五十いくつの大家。
ふたりはメシ仲間、探偵仲間、時にはできの悪い娘と、干渉気味の父親というような関係で、
奇妙な友情は一年離れた後もしっかりと続いている。
ひさびさに帰ってきたといえば大家はチキンをパリッとオーブンで焼き上げ、
ケイトが人を招くといえば手料理をかわりに用意して、
病み上がりといえばサンドイッチが。
食べっぷりのいい女性が好きだという男も現れて、ケイトの食べっぷりはますます調子をあげていく。
登場人物、風景、背景、B&B、どんよりしたイギリスの空気もただよって、
地味ながらいい味だしているシリーズです。
ケイトの奇をてらわない天然ぶりも味わい深い。。。。

Deadly Echo  (2002)

積読中

Deadly Choice  (2004)
Deadly Nights (2004)

最新の四冊はどれもハードカバーしか出ていない。
重いけれど待っても待ってもペーパーバックにならないのでとうとう中古で購入。
そのうち三冊に図書館在庫放出印付。
イマイチ借り手がないってこと?

地味だけど好きなんだけどなぁ。

HOME 本の棚