バーバラ コンスタンティン Barbara CONSTANTINE

フランスの田舎の家族を中心とした生活を、2ページくらいからの短い章50〜70集で書きつらねた本。
現代フランス口語の文体で、3音節以上の単語も少ない。
フランス語初歩から毛が生えたくらいから読みたい本。
慣用句が多いので、読解力がある人には、一味も二味も楽しめるだろうし。


ALLUMER LE CHAT (2007)
A MELIE, SANS MELO (2008)
Tom, petit Tom, Tout petit homme, Tom (2010)
Et puis, Paulette...(2012)

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Et puis, Paulette  
直訳題:そして、ポーレット



 


舞台は小さな町の郊外
息子夫婦が出て、がらんとした大きな農家に、近所のじっちゃんばっちゃんがやってくる。施設老人ホームかい、と思わせるところに若いおねーちゃんも住み込んでくる。男の子もやってくる。そして。

というようなあらすじがもう本の裏表紙にはいてある、はじめからネタばれをしたような内容。
この先はどうなるの、というより日常を切り取ったような話。
これといった盛りあがりもなし、作りすぎると派手になるだろう展開も、ここでは誰もが静かに受けとめていく。

本の形は全70章を集めた約290ページ。細切れの文章が細切れの章にならび、本になじみがない人にも読みやすいように、という造り。
通常この作家は登場人物が映画の場面のように切り替わるのだけれど、今回は農家がどっしりと中心を占めている。
パリでもない、ピーター・メールでもない、ふつうのフランス。
今回も猫やらネズミやら、鶏やらロバやら、動物が普通に出てくるし。
人物も実在感があるし。
読み終わるのが寂しくなる、こじんまりとしたファームスティを経験したような読後感です。

そして彼らの建設中のサイト: http://www.solidarvioc.com/


たわごと:
2012年5月、本の展示販売会を機にバーバラ・コンスタンティンも来るということで、ブックメッセにまたもやスイス国境まで。
サインももらい、握手もしてもらい、この年にしてアイドルの追っかけの気持ちを知る。

うっふっふ。
 

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Tom, petit Tom, Tout petit homme, Tom
トム プチトム トゥープチトム トム  (2010年)
2010年シャルル・エクスブライヤ賞受賞 (故ミステリ作家シャルルエクスブライヤがきっと好んだであろう本にささげられる賞)

あらすじ:

トムは11才。
トムのママは23才。
ママは、ママと呼ばれたらとっても怒る。それでなくても起き抜けは最悪だ。
子どもを置いてけぼりで唐突に友だちと海に泊りがけで行ってしまったり、家にいれば家にいるで食べるに困ってツグミをとったり、よその畑に入ったりもするトレーラーハウス暮らしの日々だけれど、
それでもふたりはいい関係。

近所に住むのは、定年退職後、自給自足を目指す羽目になったカップル。
22.5の靴をはいたウサギがこっそり畑にはいってくるのも、庭からテレビを見ていくことも実はお見通し。
夜のビデオに子供用を用意してくれたりしながら「田舎暮らしで退屈すると思ったら」という発言がでたりする。

そしてその一方、獲るばがりでなく、お返しもするトム。

でもまさか、トムがある日よその畑に忍びこんだときに、老婆を助ける羽目になっていたなんて、そのカップルはこれから先も知るよしもないだろう。
それと前後して、ママの古い知り合いが近所に職をみつけて引っ越してきていた。

小さな村で、行動範囲や知り合いが微妙に交差している。
そしてそこに住むだれもが相手を批判的に見たりせず、相手を思いやる視線をもっている。


感想:

老婆の血縁関係までくると、出来すぎたおとぎ話な気もするけれど、
小さな村の狭い人間関係、人を見下すことのない穏やかな付きあいをさらりと書いてくれた本。
あまりにもさらさらしすぎて、途中で一体この後作者はどうやってページを埋めているのだろうか、と心配もさせてくれたが、
後半3/4からは、物事がするするとつながっていった。
はじめのさらさらは、この伏線だったのね。

はじめはオバカだったサミーも、どんどん落ち着いていくあたりも見もの。
その中でジョセを褒める言葉が、またオバカを盛り返してくれるけど、逸品。
ページが終わってしまうのが惜しいほど、これからが気になる人たち。
日常生活をたいせつにして、いきなりそのあとを読者の想像に丸投げする思い切りのよさ。
フランスの現実ライフを描く、という話ではないけれど、
こういうことがあればいいな、と心を温めてくれる本でした。

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本について:

表紙は若草色で、ひょろひょろっと伸びた茎になる熟しきらないトマトの実。
おもわず買ってしまった。典型的な表紙買い。
(書店の一押しもあったけれど)
中高校生対象の装丁版もあったけれど、大人用購入。

内容はどちらかといえば高校生から、早くて中学生からかも。
子どもが自分で手に取る分には年齢制限なんてないけれど。

そして印象的な場面:

思わず目をうたがい、二三度読み返し、そして腰が抜けそうになったのが、料理のできないカップルの郷土料理の本にでてくるミミズのサラダ。
実はここではじめてこの本がファンタジーだと気がついた。
それでもフランス語で書くとしごく美味そうに書かれ、ついつい信じてしまいそう。

それとも、ホントの郷土料理?


それから枝葉ではないけれど、ジョスのアノ話も強烈で。
おやまぁ若いコは、思い切りがいいねぇ。

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A MELIE, SANS MELO

(初めと最後のEにアクセントあり)

9才の女の子クレアが、ひと夏過ごすために駅から12キロ離れたところにあるおばあちゃんの家へ来た。
朝、自転車で10キロ走ってパンを買いに行き、それから母親と電話で話して、ご飯を食べて、さぁなにをしよう。
竹の伸びるのをみたり、果物をとったり、魚をとったり、ジャムを作ったり、人が来たり、友達が来たり。

72才の未亡人のおばあちゃんも、自転車で10キロ走ったり、魚を手づかみでとらえたり。
近所の老人ホームに住む78才のマルセルと二人乗りの自転車に乗ったり。
パワフルな本です。
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二人乗り自転車(タンデム)が表紙で、これも表紙買いしそうになった。
ふたりの年齢を足したら150才のラブストーリーもあり、と裏表紙に書いてあって、わたしにゃまだ早い、と一度は置いたのだけれど、
図書館で先日見つけて借りてきた。
映画を見るようなおしゃれなフランス田舎ストーリー。

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ALLUMER LE CHAT

表紙買い。


250ページくらいに70章。
猫を目当てに、読みはじめたのだけれど、
出てくる動物は犬猫、爬虫類、ウサギに鹿。
日本人も出てきます。

70歳前後のカップルが五才の孫をひと夏あずかるところからはじまり、その娘、孫さまざまな世代のそれぞれの歴史と現在進行形の生活が描かれています。

母性に欠ける母、どうしようもない男に振り回されたふたりの娘、そしてその子ども、みんな、自分に正直です。
あと二冊と登場人物がかなりかぶっているけれど、べつべつに読んでも話はわかるかと。





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Voisins. voisines et Jules le Chat (2011) 児童書




死んだはずの上の階の爺さん、病院から帰ってきた。
爺さんの子供は、家のものを一切売り払ってどこかに行ってしまったというのに。
お爺さんの飼猫、返さなきゃいけない?
それより、じいちゃん、大丈夫?

主人公中学生の男の子。その妹とスペイン系の母親が上との付き合いを続ける一方、主人公とその友達たちが、爺さんの家に出入りをはじめた。

日本なら、溜まり場、というだけで煙たがられそうだが、作者のおかげか、現実的な中、ほんわかムードで話が進んでいく。
爺さんもはじめは怒っていたんだけどね。

全体は、まぁ児童書。終わりよければすべてよし、な展開でした。

話は別なのですが、こっちって、雑誌に載った話がまるまる本になるものなんですね。2011年2月に雑誌に載って、改訂後、イラストレータを換えて9月ごろ出版。
挿絵の Van der Straeten Nadine、先日図書館で衝動借りした本と一緒でした。(アリス ウロ)。

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