マ・ラモツエ シリーズ
No.1レディーズ探偵社、本日開業 (The No. 1 Ladies' Detective Agency)
キリンの涙 (Tears of the Giraffe)
Morality for Beautiful Girls
The Kalahari Typing school for Men
The Full Cupboard of Life
In the Company of Cheerful Ladise
Blue Shoes and Hapiness

アフリカ民話再編
The Girl Who Married a Lion : and Other Tales from Africa (2004)

Three TALL Novels
The 21/2Pillars of Wisdom(2003)
(Portuguese Irregular Verbs
The Finer Points of Sausage Dogs
At the Villa of Reduced Circumstances)

The Sunday Philosophy Club(2004)

アレグザンダー・マコール・スミス (Alexander McCall Smith)著
著者HP http://www.randomhouse.com/features/mccallsmith/

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マ・ラモツエ シリーズ

ミステリを書こうとしたわけではない。ミステリというより、ボツワナに住む35才の女性が素人で探偵事務所を開いたらこんなになりました、という話。

全体的に、探偵ばなしあり、ミステリあり、人生の回想あり、友人知人とのつきあいあり。
芯の強い、情に深い、ひとづきあいのいい女性、仕事熱心、しかし決して仕事で生活を振り回されないマ・ラモツエが、おだやかなで周囲を見回しています。

著者はアレグザンダー・マコール・スミス
今のジンバブエ、当時は英国の自治植民地、南ローデシアで生まれ、英国スコットランドで教育を受け、スコットランドにて教授となったあと、ジンバブエのボツワナに戻ってボツワナ大学のロースクール設立に協力。現在エジンバラ大学の医事法学教授。

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ボツワナってこんなとこ:
在日ボツワナ共和国大使館 http://www.botswanaembassy.or.jp/

No.1レディーズ探偵社、本日開業 (The No. 1 Ladies' Detective Agency) (1998)

南アフリカ共和国から北西に国境を越えた国、ボツワナでたったひとつの女性経営の探偵事務所。
事務所を開いて秘書を雇って、はたと考える。
果たしてこんなところにお客は来るのだろうか。
目の前にはアカシアの木、そしてそのはるか向こうには広大な自然が広がっている。
十時、秘書が静かにルイボス・ティー(※)を入れる。
十一時、秘書が静かにルイボス・ティーを入れる。

短編ミステリから始まった割には二章めからアフリカ文学? になってしまったし。
数章後にはふたたびミステリが姿をあらわしたけれど、文学のままでも読み続けたかもしれない。

南アフリカでの過酷な労働状況、人生をともにする伴侶選びのつまずき、つらい場面はそこここにあるにもかかわらず、犯罪小説的な緊張感やスピード感はなく、肩をはらずにゆったりとした気分で読める。
読み終えるのが惜しい、ゆっくりつきあっていきたい本。

探偵事務所、業務目次
1章: 父還る
5章: 夫消える
6章: 少年
9章: ボーイフレンド
11章: 盗難車
14章: 美形の夫
16章: 蛇と指
17章: 手
20章: ドクター

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※ルイボス・ティ (Bush tea もしくはred bush tea。rooibosともいわれる)
マメ科の植物が原料の、カフェインなしミネラルいっぱいのお茶。
マ・ラモツエとその秘書の大好物。
なんだか、旨そう。

Tears of the Giraffe (2000)

マ・ラモツエ シリーズ第二弾。
前回の翌日から話が始まる。プライベートはなにかと忙しいママ・ラモツエ。
その事務所に、大学入学を控え、行方不明になった息子の行く末が知りたいと依頼が来た。実は十年前の事件。警察もアメリカ大使館もつかめなかった真相、どこから手をつけろというのか。

そして、知らないうちに、あるところでマ・ラモツエの元に、二人の養子(里子?)を送り込む計画が、またよそではマ・ラモツエ投獄計画が着々と進められていた。
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いやぁ、いい話ではないですか。
ちょっと都合よく進みすぎ、という気もしたけれど、
悪は打たれて、善がほほえむのはいいことです。
全体にまたもやゆったりとした空気が流れ、背後には広大な大地。
今回も読み終わるのが惜しかった本でした。

Morality for Beautiful Girls (2001)
養護施設を訪れたマ・ラモツエに、園長がフルーツケーキを大きく切る。
少なくとも700カロリーはあるだろう。
けれどそれがどうしたというんだ。
マ・ラモツエは昔ながらの体格で、そんなことを気にかける必要はない

公私共に忙しいマ・ラモツエと元秘書さん。
マ・ラモツエの婚約者が鬱(ウツ)に陥いり、元秘書さんは自動車修理工場の経営まで任された。
そんな中、ライオンの体臭を感じさせる全裸の少年が出現。
一方政治家が事務所にやってきて実家に嫁に入った女が主人を殺そうとしているという。
また、マ・ラモツエの出張中に大きな仕事が緊急で転がりこみ...。
すべてが未解決のまま、最後の三十ページに入っていく。
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はじめは「ミステリじゃなくて文学かも」状態だったけれど、途中でだんだんペースが上がって来た。
それと同時に存在感を増してくるのがママ・ラモツエの元秘書さんと、自動車修理工場の見習い工。
第一巻では「女のことしか頭になかった」ような見習い工たち、外見ではモテない元秘書さんの尻にひかれるうちに目に見えて変わってくるものがあった。
相変わらず「女の子」は彼らにとって最優先ではあるのだけれど。
シリーズが回を追うごとに、登場人物がどんどん活き活きしてきた。

探偵事務所の事件顛末もユニーク。
マ・ラモツエの元秘書さんは、国家的催し事まで動かしてしまい、
マ・ラモツエの扱った事件は、ミステリレベルで読んでいる読者に不意打ちを喰らわせる。
しかしまぁ、この著者はどうしてこんなに上手に女性を描けるのだろうか。

The Kalahari Typing School for Men (2002)

はじまりはゆったりと、マ・ラモツエのプライベートの話が続きます。
助手の結婚のことや、自動車修理工場の見習いの話。
けれど黒雲はマ・ラモツエの身の回りに漂いはじめた。
里子のこと、ボツワナ唯一の探偵事務所の危機。
なんだか場が重くなった頃、仕事の依頼がやってきた。
その傍らで助手が心弾むことを思いつく。
自動車教習所をやってみよう!
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今更だが、ミステリィと思って読んでいると肩透かしをくらうシリーズで、これも類にもれない本。
仕事も人探し、夫の素行調査、そして突然現れた人間の素行について。
南アフリカの大都会や、ニューヨークに較べたらなんて「退屈」な町なんだろう。
けれど、登場人物の心の動き、マ・ラモツエの視点、そして探偵事務所の助手の動向、なにをとっても「飽きる」ことはない。
ボツワナ人情物語。
ラストにバーベキューパーティつき☆

The full Cupboard of Life (2003)

Mr. J.L.B.メトコニはケーキを見てしばらく眉をひそめた。
マ・ポトコワニのことをよく知っている。そして大きなケーキ。
このために作られたケーキ。
まぎれもなく、何か頼みがあるというしるし。

養護施設は、周囲の善意で成り立っている。
靴を買うにもポンプを買うにもお金が必要。
施設の園長は類まれな頼み上手。
そうして町の名修理工は、次々とものを依頼されるのであった。
でも、まさか、小心者に向かって毒蛇と戦えだとか、イベントのために空を飛べだとか言うなんて。

一方主人公、マ・ラモツエには、乗りに乗ったビジネス・ウーマンからムコ選びの仕事が降ってきた。

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今回は「力の入った手作りケーキ」をはじめ、全体を通して多少の複線が張られている。
ケーキなんて西洋が舞台になら「粋」な小道具なのだろうが、この本では「素朴」な小道具。
そんな牧歌的な中でも息を呑む展開もあり、仕事は意外なしめを迎える。
そして最後の最後に連発される「偶然」と「奇跡的に」には心温まるものが。

暑げな空気の中、素朴に楽しみたいときに読みたい一冊。

In the Company of Cheerful Ladise (2004)

近頃のボツワナはどうなっているんだろう。
若い女の子が人前で声を荒げ、車をぶつけてもそのまま逃げていく。
店員が見ていない隙に万引きもするしと憤慨するのは正義感あふれるマ・ラモツエ。
しかし自分も思わぬ不意をつかれたり。

留守の間に位置が変ったささやかな物、
庭から消えうせたズボン、出現した強大なかぼちゃ、
仕事場で消えうせた新しいティポット、
公金横領で逃走した男の捜索、
自転車との衝突事故、
通いはじめたダンス教室、新しい靴、
自動車修理見習い工、若いツバメとなる、
マ・ラモツエ、絶対ピンチのゆすりにあう、
消えうせたお気に入りの白いバン、...。

様々な事件が日常の流れの中で次々と起こる。
せちがらくなった南アフリカのボツワナも、少し町を外れれば荒涼とした道が続くように、
あわただしい事件の展開も、ふしぎとゆったりとした空気に包まれていた。

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感想:ネタばれ掲示板

Blue Shoes And Happiness (2006)

読みたい。
2006/08/13


アフリカ民話集

The Girl Who Married a Lion : and Other Tales from Africa (2004) 

ボツワナ、ジンバブエ民話 四十話をアレグザンダー・マコール・スミスが編集。
マ・ラモツエの前書き付き。