北原亞以子著

慶次郎縁側日記 
その夜の雪) 慶次郎の話はに再収
) (1998)
再会) (1999)
おひで) (2000)
) (2000)
) (2002)
隅田川) (2002)
脇役) (2003)
やさしい男) (2003)
赤まんま) (2004)
夢の中) (2005)
ほたる)> (2006)
月明かり) (2007)
白雨) (2008)
(あした) (2012)

深川澪通り木戸番小屋

深川澪通り木戸番小屋) (1989)
深川澪通り灯ともし頃)  (1994)
新地橋)  (1995)
夜の明けるまで) (2004)
 (澪つくし)

爽太捕物帳シリーズ
昨日の恋
消えた人たち

短編集: 恋忘れ草

**********************************************************

慶次郎縁側日記シリーズ

その夜の雪
 短編集。全体的に地味な人情話。その中でも悲惨なのは「その夜の雪」
 慶次郎の初話。
 小説新潮から「涙のにじんで来るような小説を」と注文されて書いた話だそうな。
 「暗くて何が悪い!」 という菅野高至氏(TV製作)の言葉通り、その後の話は幅も重みも半端ではない。

 (私的感想) それでも三千代さんには違う道を選んでいただきたかった。
**********************************************************
1:  

その夜の雪 再収。この話がなければ後がわからない。

二作目からは悲壮な展開はない。
だからこそ、穏やかな苦労しらずに見える慶次郎に奥行きがでる。

どの話を通しても人物の書き分けがするどい。おなじみの登場人物たちはけっして混乱を起こさせない。
つむじの曲がった吉次、手間がかかる腹いせに同居人の将棋の駒を叩きつける佐七。山口屋の番頭すらも目が放せない役どころを持っている。彼らの行動に妙に納得/共感させられるのは、一挙一動の説明が文章にであれ行間にであれ、きちんと説明がつけられているせいか。 
ただ、立て続けに読んでいくよりも一編一編ゆっくり繰り返し読むほうが、ゆったり楽しめる。

時代物でありながら、つまるところ人間関係は今も昔もみな一緒。文明から電気と車をなくしただけと思えることもある。ときどき読みながら"そんなら携帯で呼び出して"と思ってしまうこともある。

また、この人は文章が格段にいい。うたうようで流れるようで、全体に厳密に構成をされたクラシック音楽を聴いているかのよう。
読んでいて、心の奥がのぞかれている不安が胸をかすめることもあり。


律義者
似たものどうし

春の出来事
腰痛の妙薬
片付け上手
 
感想: 積んでいる物を右の端から左の端へ動かすのは、わたしの古くからの日課です。
座右の銘
 
感想: 初めて読んだときは、最後に笑いこける人たちが、何のことやらわからなかった。
      それがわかったころにはもうこのシリーズからは抜けられなくなっていた。。。

早春の歌
似ている女
饅頭の皮

**********************************************************
2: 再会
恩返し
八百屋お七
春の露
最良の日
日々是転寝
 
感想: いたちのように、亭主がはげて、女房が白髪になるまでこのふたりは寄り添うのだろうか。
やがて来る日
お見舞い
晩秋
あかり
 
感想: うちにこもる少女について、ここまで書いた話はあったのだろうか。
再会一 秘密
再会二 卯の花の酒
再会三 恋する人達




おひで

ぬれぎぬ
からっぽ
おひで一 油照り
おひで 二 佐七の恋

秋寂びて
豊国の息子
風のいたずら
騙し騙され一 空騒ぎ
騙し騙され二 恵方詣り
不惑
騙し騙され三 女心
あと一歩
感想: こういったら北原氏に失礼なのでしょうが、なんだか池波正太郎の鬼平にでてきそうな男たちの話です。





天下のまわりもの

  
暴力亭主と子育てを一段落させた貞女。
  この後も何度か出てくるテーマ。
  三十六計逃げるが勝ち。
 

金縛り
人攫い
女難の相
お荷物
三分の一



綴じ蓋
  
もう「年増」なんて言わせない
権三回想記
おこまの道楽
意地

天知る地知る

 
 短編数あれど、これほどすぐ中身がわかる題名はないかと。町人相手に漢詩をとく女史がでてくる話です。

   女のくせにとか、上から目線とか、いろいろ言われようなレベルの人ではないのです、この女史は。(さいごに失笑してしまうけれど)

夕陽
箱入り娘
逢魔ヶ時
不老長寿
殺したい奴
雨の寺


隅田川

うでくらべ
 
青少年万引き&バカ親 お江戸バージョン。
かえる
夫婦(めおと)
隅田川
親心
一炊の夢
双六
正直者



脇役

一枚看板

辰吉
吉次
佐七
皐月

 
もうひとつの、涙がにじんで来るような小説。
太兵衛
弥五

 
優男?美男子?名前の一部をどこかで落としてきたのは、ろくな男ではないそうですが。
賢吾


やさしい男

理屈
三姉妹
断崖絶壁
隠れ家
悔い物語
やさしい男
除夜の鐘
今は昔


赤まんま

三日の桜
嘘(うそ)
敵(かたき)
夏過ぎて
一つ奥
赤まんま
 
名人が損得抜きに作った簪(かんざし)。←ツボ1
 他界したおさななじみのために作ったけれど、今はそれが重くなってきた。
 簪を褒めてくれたのは、自分に正直で評判の悪い美女だった。
 そして慶次郎の名裁き。←ツボ2。
  三千代さんも、生きていてほしかったなと、まったく的外れなことを感想とさせていただきます。

酔いどれ
捨てどころ


夢のなか

師走
水光る
ふたり
夢のなか
箒木
棚から盗人
入婿
可愛い女

ほたる

みんな偽物
 
感想: 佐七、寮生活満喫!
惑い
長い道
水の月
 
感想:金は天下の廻りもの。
 作者は吉次が好きだそうだが、今回は一切"顔"をださない。(物真似されちゃったりするが)
 あれこれ妄想させる北原ワールドは、ますます妄想に包まれそう。
 

付け火
 
(引用) 後は義父上におまかせします。(省略)調べ書も書いておいていただけると有難いんですが
 
感想 定町廻りのご養子は、今回もますます快調です。

春の風吹く
 
感想:これもちょっと展開が都合よすぎないですか、という気がしないでもないですが、
 それにも勝るアクション劇。和服の裾も乱さぬ慶次郎。よっ、森口屋!

五月雨るる
ほたる


月明かり
 
長編。
 父の仇を見たという男。当時男は五才だった。「こういう話は山口屋の寮番をしていらっしゃる方に」と下駄を預ける晃之助。しかし話は真実味を帯び。
 吉次と妹、慶次郎の絡み、佐七と吉次の距離感。細かいところは見逃せない。
  雑草の生い茂った庭にも風情があると慶次郎は思うのだが、佐七は「そりゃ旦那のような無精者の身勝手な言訳だよ」とにべもなかった。
 よくもこういうふたりが一緒に暮らしているわけだ。

白雨

流れるままに
 すべてを他人のせいにしてしまえば気が楽になる。(中略)誘惑に負けて他人の言う通りに動き、あとでその人のせいにしたことが幾度かある。が、後味は悪かった。
 
のっけからストレート。
 頼まれたから婿になった、〜されたからどうしてやった、その態度を自分で決めろと突き放される。
 解決先も行き先もわからないけれど、まずは自分の中がかわっていく。

福笑い
 
年の市、師走の買い物に出かける佐七と慶次郎。そこで昔の知り合いを見かける。
 どこにでもいる女の子と足元のおぼつかないいい加減な男。現代の話をコスチュームプレイで見せられるような話。
 あたし、この人と付き合ってほんとにいいの?


 
吉次の元女房が養女を探している。目をつけた相手には変な男がついているという。

濁りなく

「おい」と慶次郎が辰吉を呼んだ。孫の家でも食ってきたのだがと雛あられに相好をくずしていた男とは、別の人間のようだった。

教科書通りの騙り。出会いのタイミングはご都合主義のよう。これを顛末まで書ききらないのが北原さんの良さ。


春火鉢
 
惚れた腫れた分かれた切れたの男女の仲の複雑さ。
 思い切りのいい娘です。
  ーそれだけでいいんですか。
  ーわたしも肩で息をしている義母を見ましたら、お茶を入れてあげたくなりましたんで


いっしょうけんめい
 
母と娘の物語。
白雨
 
佐七の友情。池波正太郎の鬼平に登場する正しいお頭のその後、を思わせる。
 鬼平なら目こぼすかも。
 吉次と辰吉のからみも逸品。
 

夢と思えど

 所帯を持とうとすると駆け落ち話がもちあがる。それも同じ男から。
 未練があっても離れて住むほうが幸せなのか。



あした

慶次郎の新刊は、文庫を待たずして買う作家の一人でした。

購入し、一気に読んだのだけれど、またじっくり再読をしてみよう、と思っていたらご逝去の知らせを聞いた。
北原様、こころよりお悔やみを申し上げます。
安らかにお眠りください。

あの世で、江戸の人と会っていらっしゃるのかな。

2013/03/14







深川澪通り木戸番小屋シリーズ

深川澪通り木戸番小屋(1989)

深川澪通り木戸番小屋
両国橋から
坂道の冬
深川しぐれ
ともだち
名人かたぎ
梅雨の晴れ間
わすれもの

深川澪通り灯ともし頃 (1994)

たそがれ
新地橋 (1995)
新地橋
うまい酒
深川育ち
鬼の撹乱
親思い
十八年

夜の明けるまで(2004)
女の仕事
初恋
こぼれた水
いのち
夜の明けるまで

奈落の底
ぐず



爽太捕物帳シリーズ
昨日の恋
消えた人たち


短編集: 恋忘れ草
恋風
男の八分
後姿
恋知らず
恋忘れ草
萌えいずる時


HOME 本の棚